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第25回(2005.06.29)
コミュニケーション監査 |
◆コミュニケーション監査とは
監査という言葉はよく聞くと思うが、コミュニケーションに対する監査というのはあまり耳にしないかもしれない。一般的に監査とは何かを探求、調査、監視、評価する
プロセスを指す。コミュニケーション監査とはコミュニケーションに対する監査であり、
「コミュニケーション」を探求、調査、監視、評価するプロセス
を言う。
コミュニケーション監査の監査視点はコミュニケーションがプロジェクトが「コミュニケーション計画通りに行なおうとしているかどうか」であり、もう少し、広く言えば、
プロジェクトの中でコミュニケーションが健全に行われているかどうか
である。コミュニケーション監査の目的とすることは、コミュニケーションの健全化であるが、それは具体的には
・生産性
・チームビルディング
・母体組織、顧客、ベンダーなどのステークホルダーとの調整・関係付けを可能にする
コミュニケーションを実現すること
といった目的があることに注意をしておく必要がある。
◆コミュニケーション監査の効果
つまり、監査に期待する効果としては、
(1)事実の検証
・プロジェクトの中での知覚は立場と経験により異なる
・メンバー各人が自分たちの知覚のあり方をチェックし、適正化できる
(2)診断効果
・プロジェクトを崩壊させかねない、コミュニケーションの問題を指摘する
・生産性の低下、チームワークの欠如といったプロジェクト組織の問題を予測する
(3)フィードバック効果
・コミュニケーション=インプット
・効果=アウトプット
・アウトプットが望ましくない状況になったときに、是正する
(4)コミュニケーション効果
・コミュニケーションに効果を向けさせることによって、良い影響を与える
(5)トレーニング効果
・コミュニケーションマネジメントに対するスキルアップの機会を提供する
・コミュニケーションに関する認識が研かれ、相互作用への感受性が身につく
といったことが期待できる。特に、(1)の効果が重要である。ドラッカーによるとコミュニケーションとは、「相互理解」のプロセスであるが、それを通常のコミュニケーションマネジメントといった形で改善していくことは難しく、その点で監査が望まれることが多い。
◆コミュニケーション監査の手順
コミュニケーション監査は
S1:立ち上げ
S2:計画
S3:診断・事実の発見
S4:分析
S5:評価
S6:フィードバック
の6つのステップで行われることが多い。
コミュニケーション監査の立ち上げは、プロジェクトの計画プロセスで行われることが多く、
・主要ステークホルダーとの面談
・監査の目的の確認
・監査の範囲の明確化
といった活動を行う。この活動の中でもっとも重要なポイントはステークホルダーにコミュニケーション監査という概念を理解させることである。
S2の計画では、まずは、監査に関する母体組織、PMOとの合意を作りこまなくてはならない。と同時に、報告方法の決定しておく必要がある。これがスタートになる。その上で、監査の目的に応じて
・監査領域の決定
を行い、監査領域に応じて、
・監査手法を決定
する。
◆コミュニケーション診断の分析視点
コミュニケーション診断の結果の分析視点としては、一般的に
・コミュニケーションをプロセスとして捉える
・コミュニケーションとプロジェクトプロセスを関連付ける
・タスクプロセスがコミュニケーションに与える影響を調査する
・情報交換の適正さを決定する
・コミュニケーションフローの方向をチェックする
・コミュニケーションメディアの利用方法を評価する
・コミュニケーション関係の質をチェックする
・コミュニケーションネットワークを図式化する
・プロジェクトをひとつのシステムとして見直す
・コミュニケーションをプロジェクトの成果物と関連付ける
といったことが上げられる。
◆コミュニケーション監査の手法と特徴
コミュニケーション監査の手法と特徴は以下のとおりである。
(1)観察
人的プロセス、環境、タスクプロセスデータを見るのに適している
(2)インタビュー
従業員の知覚をはじめ、多くの課題を詳しくカバー可能
(3)質問票
組織の多くの情報を得るのに適している
(4)クリティカル・インシデント
知覚された行動の具体例を知るのに適している
(5)ネットワーク分析
構造的情報
(6)内容分析
組織を通じて処理された情報が得られる
(7)コミュニケーション日誌
メッセージの内容がわかる
コスト的には、(5)のネットワーク分析や、(7)のコミュニケーション日誌は大きくなる。監査コストと目的を考え合わせて、適切な監査手法を選んでいく必要がある。
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