|
第4回(2004.03.22)
パフォーマンスマネジメント(1) |
◆あなたのチームに関する質問
あなたはプロジェクトマネージャーとして、
・情報収集
・計画(計画変更)
・調整(トラブル処理)
・自分の失敗のリカバリー
・指導
・ステークホルダのケア
・プロジェクト作業
のそれぞれにどれだけの割合の時間を使っているかすぐに答えることができるだろうか?この1年くらい、セルフマネジメント、中でも、タイムマネジメントの重要性が言われているので、ひょっとすると半分くらいのプロジェクトマネージャーは答えられるかもしれない(そうあってほしい!)
さて、ところで、あなたが今、抱えているプロジェクトで、
・プロジェクト作業
・顧客との調整
・顧客以外のステークホルダとの調整
・プロジェクトミーティング
・手戻り作業
にどれだけの割合の時間を使っているかをきちんと答えられるだろうか?著者の経験では、この質問に答えられるプロジェクトマネージャーはせいぜい、2割といったところである。答えられるという人は、このシリーズは、今回から何回かの記事は読み飛ばしてもらってもかまわない。
◆プロジェクトマネジメントに必要なことと不要なこと
さて、なぜ、答えられないのだろうか?いうまでもなく、計測していないからだ。もっとも、深く考えると、プロジェクトマネジメントにそのような情報が必要だとは思わないからだろう。必要ないので、計測しない。だから、分からない。
では、なぜ、必要ないのか?ここが問題である。多くの人は考えるに越したことはないという言い方をするのではないかと思う。まったく、不要だという人もそんなにはいないだろう。しかし、そんなことを考えるより、まず、目の前の目標の達成、つまり、納期と品質と予算のクリアの方が重要であり、プライオリティが高い。
それは、一見、正しい。プロジェクトにおける時間の使い方を知ったところで、レッスンラーンドで次回のプロジェクトの見積もりの参考にしかならない。それは、それで、これから話題になりそうなOPM3などのプロジェクトマネジメントの組織成熟度の向上には必要だろう。しかし、そんなことのために、今のプロジェクトで余計な手間をかけられたくない。といったところではないだろうか。
◆パフォーマンスの管理
本当にそうなのか?一つ考えて見なくてはならないことがある。プロジェクトが所定の時間で終わるというのは計画上のことだ。あえて計画上だと書いたのは、メンバーにたまたま、家庭の心配ごとがあって、仕事に集中できなければ、過去の実績に基づいて見積もった数字でも計画通りには終わらないだろう。それはリスクとして対処すればよいという考え方も当然ある。
しかし、本当にリスクとして扱ってよいのか?これをリスクだというのであれば、プロジェクトのすべての作業で、リスクを負わなければならない。リスクではなく、最初から計画を作ることと、実行することは別だと考えるべきである。
すると、メンバー個々人に計画通りに作業を行わせる必要がある。つまり、個人のパフォーマンスの管理が必要なのである。もう、お気づきになったと思うが、冒頭に問いかけたのは、プロジェクトマネージャーの個人としてのパフォーマンスをきちんと管理しているかという問いであった。同様に、チームのパフォーマンスも問われなくてはならない。これが二番目の問いかけである。そして、チームのパフォーマンスは、個人のパフォーマンスの延長線上にある。
従って、チームのパフォーマンスを管理しようと思えば、個人のパフォーマンスの管理とチームのパフォーマンスの管理をする必要がある。プロジェクトマネジメントの中では、特に個人のパフォーマンスの管理は、動機付けとしてしか議論されることがないが、パフォーマンスマネジメントこそは、計画の実行上、最も重要なマネジメントである。そこでは、プロジェクト計画を、パフォーマンス目標に落とし込んでいく必要がある。
今回から何回かは、パフォーマンスマネジメントについて解説したい。
|
◆お奨め図書
ロッシェル
カップ :ソフト・マネジメントスキル―こころをつかむ部下指導法,日本経団連出版(2003) |
スポンサードリンク |
|
|
読者からのコメント |
■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■
■は必須入力です
|
|
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます. |