第6回(2003.05.19) 
定性と定量を使い分ける
 
プロジェクト内容

中堅SIベンダーX社。コンビニ向けお弁当製造業Y社のパートタイマーローテーション管理システムの進捗報告ミーティングの場面

登場人物 Aさん 今回のシステムのプロジェクトマネージャー。
     Bさん スケジューリングエンジン担当。リーダー
     Eさん ローテーション管理アプリケーション担当者

Aさん「B君、進捗はどう」

Bさん「カスタマイズしないといけないモジュールが3つあるんですが、すべてのモジュールについて、技術的なカスタマイズの技術的な問題はないことは確認できました。また、すでに1つのモジュールはすでに作業を終わっています」

Aさん「E君の方はどう?」

Eさん「設計は終えて、ディベロップメントに入ったところですが、順調ですよ、そんなに大きなシステムではないし、スケジュールは大丈夫だと思いますよ」

Aさん「結合にはいつ入れそう?」

Eさん「単体のところで、Bさんの担当しているエンジンが必要になってくる部分がありそうなので微妙なところがありますが、今のところ若干、遅れ気味ですが、まあ、彼女にふられたところで、休日も暇なんで、休日出勤で遅れを取り戻しますので、ご心配なく」

<その次の次の進捗会議>

Aさん「B君の方の作業は終わっているけど、E君の方はどんな調子?」

Eさん「Javaの細かなところの情報がなくて、あせっています。結合の日程を延ばせませんか?」

Aさん「君は、前回の会議でも、前々回でも若干遅れているけど、大丈夫だといっていたじゃないか?そんなことでは困るよ。徹夜してでもやってくれ」
このプロジェクトの結末  結局、EさんはAさんに泣きつき、Bさんの応援を得て、共同作業。Bさんの機転で、結合テストをパラレルに進めて、スケジュール的にはリカバリー。ただし、Bさんの方は掛け持ちのほかのプロジェクトに影響がでる
問題点  進捗管理は行っているものの、このケースのように、ただ、単に「様子」を聞いているだけというプロジェクトが多い。特に進捗で気をつけないといけないのは、「順調である」、「問題ない」といった報告の仕方であるし、それをそのまま受け流すのも問題である。
 「順調である」=「計画通りに進んでいる」
 「問題ない」=「この先も計画通りに進むだろう」
という意味である。このケースのようにこのように報告できないというのは、何らかの理由があると考えるべきであろう。
処方箋 ・定量的な報告
・定量化基準の明確化
解説  プロジェクトマネージャーは、進捗管理において、できる限り、「定量的」に報告をさせるべきであるし、定性的な報告の場合には、きちんと定量的に確認すべきである。
 進捗管理は、プロジェクト管理の中で唯一残っている職人的領域だと言われていたが、EVMが登場してきてから、認識が変わりつつある。EVMがシステム開発のプロジェクトに対してどれだけ有効かは議論の余地があるが、いずれにしても定量的に扱う工夫をすることは大切である。ソフトウエア開発では、モジュール数やオブジェクト数、画面数などに注目し、自社の案件の特長を加味し、独自の進捗管理を取っている企業が多い。もっとも現実的で手軽な方法であるし、また、特殊なシステムを除くと有効な方法である。
 これらを発展させた方法として考えられるのが、ファンクションポイントを使って、ファンクションポイントをEVMベースで行い、進捗管理するという方法である。ファンクションポイントについては実際に進捗に使っている企業もある。この進捗管理の方法は、見積もりや計画をファンクションポイントベースで行わなくては難しいので若干普及には時間がかかると思われるが、将来的にもっとも有力な方法であろう。
ワンポイント 定性と定量を使い分け、客観性を確保する
参考文献:
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