第29回(2005.01.19) 
I PMO

◆PMO

最近、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)がある企業は珍しくなくなってきた。

 ブログ pmstyle塾長の眼 http://people.weblogs.jp/pm/

で今年の最初のコラムとして

 今年のポイント http://people.weblogs.jp/pm/2005/01/post_1.html

というコラムを書いたが、PMOの構築や再構築の仕事にかかわっているうちに、そもそも、このような機能はPMOという組織だけが持っていればよいのだろうかという疑念を持つようになった。

ここで、例のキャリアアイデンティティという議論が出てくる。つまり、プロジェクトマネジメントを単なる役割と捉えてやっているケースと、「職業=キャリアアイデンティティ」だと捉えてやっているケースではぜんぜん、考え方が違うという議論である。

もちろん、どちらがよい、悪いではない。このシリーズは後者を前提にしているので、当然、後者を対象にした議論である。

職業としてPMを捉えるのであれば、プロジェクトマネージャーではなく、PMOになる必要があるのではないか!

プロジェクトマネージャーとしてキャリアを歩んでいく場合、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアビジョンを作り、ビジョンの実現のためのキャリアアセスメントと、スキルアッププラニングをする。そして、実行していく、といった一連のアプローチが必要だ。これは、プロジェクトマネージャー養成塾(pmsytle.com*munity)でずっと提案してきていることだ。

◆プロジェクトマネージャーではなく、(ひとり)PMO

さて、このようなことを考える際に、プロジェクトマネージャーをゴールとして考えればよいのかどうかが、上で紹介したブログや、この記事の問題提起である。つまり、

 プロジェクトマネージャーではなく、(ひとり)PMOになる必要があるのではないか

という問題提起だ。少なくとも、職業として、自律的に行動できる、「ワンランク上」のプロジェクトマネージャーを目指すのであれば、(ひとり)PMOを目指すべきだろう。

単にプロジェクトマネジメントのスキルを身につけることを目指すだけではあまりキャリア的な発展性がない。


◆IBMのICP

話は変わるが、リクルートワークス研究所が2004年の年間重点テーマとして企業で働くプロフェッショナルを取り上げていた。その中で、プロジェクトマネジメントが絡む分野ではIBMのプロフェッショナル制度についてかなり詳細に研究している。ご存知の方も多いと思うが、IBMのプロフェッショナル制度はICP(IBM Certified Profession)を頂点にしたかなり洗練された制度であり、10年以上もリファインされてきた制度だ。

 http://www.works-i.com/special/professional_06.html

この制度が日本になじむかどうかという議論はあるが、いずれにしても、組織内プロフェッショナルの定義を「自律して稼ぎ、稼ぐことで所属組織に貢献する」ことだと考えている。分かりやすく言えば、「自分で数億円の仕事を取ってきて、所属組織からリソースを始めとするを支援を受け、プロジェクトを実施し、プロジェクトで生まれた利益を所属組織とシェアする」といったイメージになる。

このようなモデルを考えると、つまりところ、スキルとして、「自律して稼ぐ」ために何が必要かという議論になる。これがワンランク上のプロジェクトマネージャーのイメージだ。ただし、プロジェクトマネージャーのイメージではなく、PMOのイメージになる。

ワンランク上のプロジェクトマネージャーを目指すには、かなり、明らかにプロジェクトマネジメントスキルだけでは不十分である。そこには、ビジネスを創り上げ、そのビジネス上のニーズにしたがって、自分のスキルを常に向上させる「スキル」が必要である。つまり、PMOに求められる

 ・ビジネスアライメント
 ・ビジネスシステムの構築
 ・アセスメントとパフォーマンス向上
 ・リカバリー
 ・リソースマネジメント

などのスキルが必要である。


◆I PMO

このように考えると、プロジェクトマネージャーとしてキャリアを作って行きたい人は、(ひとり)PMOを目指すべきだ。これを今年のプロジェクトマネージャー養成マガジンのテーマにしたい。

自分をプロジェクトマネージャーではなく、PMOになぞらえ、自分の中にPMOの機能を構築していく。pmstyle的キャッチフレーズは

 ”I PMO”

これによって、あなたのプロジェクトマネジメントスキルは飛躍的に向上するだろう!


◆pmstyle.com*munityでの取り組み

pmstyle.comでは”I PMO”を支援する記事として、メールマガジン「プロジェクトを成功させる仕事術」の中でいろいろな情報を発信していきます。ご登録がまだの方は、お急ぎください!

 http://pmos.jp/juku/magazine/index_full.htm


◆プロジェクトマネジメントオフィスの支援

プロジェクトマネジメントオフィスでもそのような活動を支援していく予定です。

「pmstyle.com」というメルマガを不定期に発行していましたが、まず、これを完全に定期化し、PMOそのものをいろいろな視点から知ってもらい、あなたの I PMO のイメージ、ビジョン作りにお役に立ちたいと思っています。

 pmstyle.com

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