第1回(2003.12.28) 
概論
 

 企業がプロジェクトマネジメントを強化したいと思う理由は3つある。

(1)プロジェクトをうまくやる(失敗しない)
(2)プロジェクトで利益を追求する
(3)競争力を持つ

の3つである。

 現在のところ、プロジェクトマネジメントを強化する目的のほとんどは(1)である。しかも、単に一つだけのプロジェクトをうまくやるというだけではなく、複数のプロジェクト(マルチプロジェクト、コンプレックスプロジェクト)をうまくやるというニーズが増えてきている。

 一方で、徐々にではあるが、プロジェクト経営入門で展開しようとしているような取り組み、つまり、プロジェクトへの投資の集中により、より多くの利益を得ようという動きが起こってきている。EPM、あるいは、PPMと呼ばれる動きだ。

 そして、このような流れとは別の取り組みとして、プロジェクトマネジメントを競争力の源泉にしようとする動きがある。

◆鶏が先か、卵が先か
 一般的な認識として、プロジェクトをうまくできるようになってはじめて、利益が追求できる。そして、それが定着してはじめて、企業の競争力の源泉になるという考え方がある。この考え方は必ずしも正しくない。

 たとえば、プロジェクトがうまく行かない大きな理由の一つに、闇雲にプロジェクトを受注し、プロジェクトマネージャーも不足すれば、キーマンも足らないという状況を作っていることがあることは明らかだ。これでは、いくら、複数プロジェクトをマネジメントする工夫をしても、本末転倒である。つまり、プロジェクトの利益を追求していると、プロジェクトをうまくやることが自然に実現できる可能性がある。

 競争力についても同様である。プロジェクトマネジメント力を競争力とすることに努力することにより、プロジェクトをうまくできたり、あるいは、プロジェクトの利益追求ができたりする可能性がある。

 その意味で、これらは、手順ではなく、アプローチの視点に過ぎない。何に対するアプローチかというと、戦略をプロジェクトにより実現することにより、利益を拡大し、継続的な競争優位を獲得することである。

◆連載の内容
 以上のような考え方のもとに、この連載では、プロジェクトマネジメント能力に注目をして、以下に、プロジェクトを失敗せず行い、利益を大きくし、さらには、継続的な競争力を実現するかについて議論してみたい。

◆プロジェクトマネジメント能力とは?
 では、プロジェクトマネジメント能力とは何か?これには3つの要素がある。

(1)プロジェクトマネジメントプロセス
(2)プロジェクトマネジメントの継続的改善能力
(3)プロジェクトマネージャーやプロジェクトメンバーの継続的学習

次回からは、それぞれについてもう少し、具体的に検討してみたい。

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