2003.1.29/2.15 セミナー基調メッセージ
行動できるプロジェクトマネージャーを目指す

このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.

◆プロジェクトにおける不確実性
 プロジェクトマネジメントというのは実に興味深いものだと真剣に思った時期がある。なぜかというと、不確実なものがどうして管理できるのかというたわいもない疑問を持ったからである。この疑問はPMBBOKの、リスクを計画するなどという一見トリッキーな考え方を知り、解消した。
 たとえば、建設工事をするのに、天候でスケジュールがくるってしまうという場合、これをリスクとして計画のうちに入れてしまう。これが、もともと、プロジェクトマネジメントが考えられるようになった理由でもある。一旦、計画に入れてしまえば、後は、計画の管理として、不確実性と戦い、ゴールにたどり着ける。つまり、不確実な中で「失敗しない」にはどうしたらよいかというアプローチを取っているのだ。
 確かに公共工事をやる場合には、住民の大切な税金を使う。失敗は許されない。従って、これでよいのだと思う。しかし、企業活動にプロジェクトマネジメントを取り入れる場合も、本当にこれでよいのだろうかという疑念に駆られる。これでは、競争力にならないからだ。
 たとえば、顧客がどうしても開発したいシステムがあるが、どう考えても、顧客の準備できる予算では、期間も費用も要員も十分に確保するのは難しいとしよう。この問題をプロジェクトマネジメントの問題として扱うと、オーナーとの仕様折衝、スコープ、予算の議論になる。ところが、企業活動の場合、現実にはそんな言い分は通らないことが多いし、そのようなことを言っていると、その企業はたちどころに競争力を失うだろう。やるしかない!しかも、採算ベースで。つまり、不確実性のある中で、「成功する」にはどうすれば良いかというアプローチが必要だ。

◆自分たちが変わることが唯一の解決策
 とすると、残された問題解決の方法は一つしかない。自分たちが変わることである。プロジェクトメンバーの一人一人が自身の生産性を10%ずつ向上させれば、問題は片付くかもしれない。もし、そうだとすれば、プロジェクトマネージャーはそのようなマネジメントをしなくてはならない。あるいは、メンバーの能力はそう簡単に変わるものではないとすれば、チームワークを向上させ、チーム作業の生産性を向上させればよい。プロジェクトマネージャーはそのマネジメントをするのだ。

 今までは、この種の状況においてまず最初に考えることは、技術的な解決を求めることが多かった。たとえば、工法や開発方法、生産方法を工夫すれば何とかなるだろう。それはそれで一つの解決方法には違いないが、競争力という観点で考えれば、企業全体で取りうる解決策であり、プロジェクトの解決策にはならないケースが多い。つまり、方法が見つかっても、プロジェクトのコストそのものが競争力のないものになってしまう。

◆不確実性は邪魔者か、チャンスか
 ここまでのポイントを整理しておく。この議論のポイントは不確実性の捉え方にある。従来プロジェクトマネジメントが適用されてきた分野では、明らかに不確実性は「邪魔者」である。公共工事だけではなく、たとえば、社内の情報インフラを構築するという場合もかつては「邪魔者」であった。つまり、何とかして排除したい対象だったのだ。
 ところが、このような混沌とした企業経営環境の中では、不確実性は「チャンス」と捉えるべきである。リスクが高くてできないことを、卓越したプロジェクトマネジメント能力を持って機会に変えていく。そういう発想が必要である。そのキーワードが、人の能力であり、チームの能力だ。

◆プロジェクトの成果はリーダーとしての行動により決まる
 人やチームに問題解決の切り口を求める際に、求められるのはマネージャーとしての行動ではなく、リーダーとしての行動である。プロジェクトの成果は、リーダーにより決まるといっても過言ではない。
 では、マネージャーとしての行動とリーダーとしての行動はどう違うのか?マネージャーとしての行動というのは管理行動であり、ある程度、マニュアル化できるものである。これに対して、リーダーとしての行動は、管理ではなくメンバーやプロジェクトチームを「ファシリテート」するものであり、マニュアル化することが難しい。リーダーとしての行動のキーワードはいうまでも「リーダーシップ」であるが、リーダーシップの議論が「盲人が象を語る」ような議論になっていることをとっても如何にマニュアル化が難しいかが分かる。そこで、行動そのものに注目するのではなく、その行動の下地になる「資質」に注目しようという話になる。これが、「PMコンピテンシー」である。

◆今回のセミナーの内容
 今回のセミナーのメインテーマである「行動できるプロジェクトマネージャー」の行動とは「リーダーとしての行動」である。もちろん、目指すはあくまでもマネージャーであり、プロジェクトリーダーということではない。従って、マネジメントのスキルが必要ないということではないことに注意しておいて欲しい。マネジメントのスキルは必要なのである。その上で、リーダーとして行動できるマネージャーを目指すということだ。
 実際にプロジェクトマネジメントは大変難しいと思われているのは、リーダーとしての行動の部分である。管理行動そのものは知識は必要であるが、そんなに難しいものではない。ここを整理をした上で、どういう資質が必要かを考えてみたい。

 今回のセミナーでは、この資質を
 ・戦略的計画能力
 ・顧客対応能力
 ・責任感と遂行能力
 ・技術的センス
 ・品質へのこだわり
 ・チームをまとめる能力
 ・パーソナルスキル

の7つの視点から、そのような方法で向上させていくかについて解説する。

セミナーの詳細・お申し込みはこちらから