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第3回(2004.02.23)
できるPMの行動特性 |
◆できるプロジェクトマネージャーの7つの行動モデル
さて、PMコンピテンシーの話に入る前に、プロジェクトマネージャーの行動モデルを想定してみよう。プロジェクトマネジメントOSはできるプロジェクトマネージャーには7つの行動規範があると考えている。
1.目的の達成に責任を感じ、最後までやり遂げる
2.戦略的な計画を作る
3.品質に対する高い意識を持ち、目標達成のための継続的な改善を行う
4.常に顧客の真のニーズと利益を考え、実現するための行動をする
5.チームをまとめ、目標と情報の共有をするように行動する
6.専門技術を抽象的に考えることができる
7.常に自分をコントロールされた状態に保つことができる
いずれの行動特性も、それを体現するためには、上で説明したスキルとコンピテンシーの両方が必要になる。
◆行動を起こす基になるもの
例えば、2.の「戦略的な計画を作る」という行動を体現しようとすれば、まず、計画を作るための知識が必要になる。これは、スコープの定義の方法であったり、あるいは、WBSやOBS、資源マトリクスの作成の方法であったりする。
次に、その知識を使って実際にスコープを定義したり、あるいはWBSを作るという「行動」ができることが必要になる。これは何でもないようで、かなり、難しいことである。そのマネジメント行動プロセスの詳細を正確に把握し、そのプロセスにしたがって実際に作業をすることが不可欠になる。
例えば、WBSを作成しようとすれば、成果物を実際にブレークダウンできなければならない。このためには、さらに、対象をシステムとして捉え、その構成ルールを発見し、さらには、成果物をMECEに展開することができなくてはならない。
そこに加えて、戦略的となると、従来のブレークダウンの方法にとらわれず、自分の見方で構造を決めなくてはならない。また、そのプロジェクトに求められる戦略性に応じて、ワークパッケージの大きさを決定したり、あるいは、分解の深さを決めることができなくてはならない。
さらに、これらの作業を的確に行うためには、顧客やメンバーとのコミュニケーションを上手に行い、うまく情報を聞き出さなくてはならない。あるいは、成果物のビューを顧客のビューで捉え、その上で顧客が満足を得られるような分解をしていかなくてはならない。
などなどである。つまり、WBSの作成一つとってみても、「戦略的計画の作成」を行動として行うためには、このようにさまざまな特性が必要になることが分かる。これらすべてをあわせてPMコンピテンシーなのだ。
PMコンピテンシーとは一言でいえば、プロジェクトマネジメントを行うために必要な能力なのだ。
◆知識と個人の行動特性
ただし、ここで考えなくてはならないことがある。
話は脱線するが、プロジェクトマネジメントOS本舗では、PMコンピテンシーの研修を始めた。この営業を通して、以下のような文句が研修担当者に受けている。
「今までに習得してきた知識や行動方法を活かす方法を考えましょう」
要するに、今まで、散々、PMBOKだの、リーダーシップだの、ネゴシエーションだのを研修としてやってきたのだが、現場でのプロジェクトマネージャーの行動はあまり変わっていない。研修の限界を感じていたところに、研修で培った知識を使えるようにする研修というのが魅力的に映っているのだと思う。改めて、知識や基本的行動能力重視のトレーニングが多いことを痛感させられた。
問題の本質はここにある。確かに、PMBOKとPMCDの関係のように
知識 → 知識の適用 → 知識を使った行動(行動力)
という風に考えるのも一つである。ただし、このアプローチはたぶんに、PMBOKありき、つまり、「知識体系ありき」だということに注意しておく必要がある。
むしろ、
PMのすべき行動 → 行動力(←行動に必要な知識)
と考えるほうが自然である。プロジェクトマネジメントOSはこのようなアプローチになっている。
どこが違うのか?プロジェクトマネジメントOSのアプローチだと、行動の手段は問わないのだ。つまり、PMBOK流の知識依存型でもよいし、極論すれば、別に、PM業界では毛嫌いされている「KKD」だってかまわない。できればよいのである。
つまり、プロジェクトマネジメントOSというコンピテンシーは、最終的に表面に出てくる行動のみを規定してようとしている。
これは言い換えると、プロジェクトマネジメント能力というのを、目的指向で捉えていることに他ならない。その意味で、現実的であるし、いくつものコンサルティングを通じてその有効性も実証できている。
このように考えると、能力構築においても、必要な能力をつけるための「自分のアプローチ」を見つけ出し、それを身につけていけばよいことになる。
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