特別編(2005.12.16) 
プロジェクトマネジメントOSとPMコンピテンシー

◆プロジェクトマネジメントOSとは

4年前、メルマガの発行とほぼ同時に、サイトを立ち上げた。メールマガジンは知人のマーケティングのコンサルタントから「ベタな名前の方がよい」とアドバイスを受け、「プロジェクトマネージャー養成マガジン」とした。その代わりに、サイトの方は自分の想いを表現した名前にしようと思って、「プロジェクトマネジメントOS本舗」とした。

なぜ、OSとつけたのか?WindowsのようなコンピュータのOSを考えてもらうとわかるが、OSは与えられたリソースを有効に使い、コンピュータ全体のパフォーマンスを高めたり、コンピュータがユーザにとって使いやすいものにするといった役目を果たしている。これと同じように、プロジェクトマネージャーの頭の中には、プロジェクトマネジメントに関するOSがあり、パフォーマンスを決定付けていると考えられる。そこで、これをOSになぞらえ、プロジェクトマネジメントOSと呼ぶことにした。

プロジェクトマネージャーのパフォーマンスを決定付けるものは、行動、思考、感情、知識の4つである。すなわち、これがプロジェクトマネジメントOSの構成要素ということになる。

プロジェクトマネジメントOS本舗は、この4つの要素からなるOSのパフォーマンスを高くするためのサービスを売ろうと思って作ったサイトである。まず、知識の強化に着手し、次に思考について着手した。さらに行動について取り組んだ。ここまでは比較的スムーズに進んだが、感情をいう厄介なものが最後に残った。

それで、いろいろと試行錯誤を繰り返した結果、たどり着いたのが今年から着手した「意志の力」である。意志の力は、感情をうまく利用して、「アクションバイアス」を生み出し、行動に結び付けていこうという考え方である。これは、まだ、個人的な取り組みとして+好川塾+の中で取り組んでいる段階で、サービスパッケージにはしていない。まだ、少し、時間がかかる見通しである。


◆PMコンピテンシーとコンピテンシー

次に、このような取り組みの中で、PMコンピテンシーをどのように位置づけているかをお話したい。

PMコンピテンシーというのが一般的なコンピテンシーと較べると少し複雑な概念になっている。本質的な是非はともかく、一般論としてはプロジェクトマネジメントは専門知識がないとできないと考えられている。それがコンピテンシーにも出てきており、PMIの策定した標準コンピテンシーには、知識と行動、パーソナリティの3つの要素が含まれている。概念としては、我々が、プロジェクトマネジメントOSと呼んでいるものに近い。PMIのコンピテンシー標準はPMCDF(Project Management Competency Development Framework)という名前の通り、育成に焦点を当てたものである。プロジェクトマネジメントOSという考え方も育成を念頭に置いた発想であり、その意味で近いことは納得できる。


◆PMコンピテンシーの位置づけ

さて、これまでは知識や思考の育成を中心にすえてきたが、今後は一歩進んで、PMコンピテンシーを中心に据えた活動・サービスをしようと思っている。僕はこのメールマガジンでもしつこく言ってきたように、プロジェクトマネージャーの行動には、ある程度の専門知識が必要であると考えている。マネジメントという限り、PCDAのサイクルを作ることは前提であると考えている。すると、全くの専門知識なしに計画をつくるというのは考えにくい。第一、計画をつくるといったときに何も決めればよいかもわからないだろう。(ただし、PDCAのサイクルはいらないと考える人がいれば、ひょっとするとプロジェクトマネージャーには専門知識は要らないという結論になるかもしれない)。

そのような前提で考えると、実はプロジェクトマネジメントOSの構成要素の一つである行動は特別な位置づけになる。感情はちょっとややこしいので抜きにして考えると、知識や思考(思考は知識と行動を結びつけるものであるが、ここに価値観などの要素も入る)はすべて行動として具現化されることになる。これは、組織マネジメントの中で考えられてきたコンピテンシーの考え方でもある。

一つの例を挙げてみよう。我々が作ったコンピテンシーモデルの中にもあるが、アカウンタビリティというコンピテンシーはよく使われるコンピテンシーの一つである。プロジェクトマネージャーがアカウンタビリティのある行動をしようとすれば、おそらく、スコープの定義をきちんとして、進捗をきちんと管理することが最低限必要であると同時に、他人に対して状況を説明する必要がある。つまり、このような「行動」をとるためには、共通言語としての意味もこめて、WBSをきちんと知っていることが必要になると思われる。

その意味で、これからPMコンピテンシーへの取り組みは、これまでの知識や思考への取り組みを包含するものだと考えている。


◆無料セミナーのご案内

ということで、なんだかややこしい話を我慢して読んでくださったあなたへのお礼。

年明けの1月30日の東京でコンピテンシーに関する特別セミナーをやります。コンピテンシーでは、太田隆次さんと並んで日本の第一人者である永井隆雄さんをゲストにお招きして、コンピテンシーのお話を聞きます。永井さんは、「コンピテンシー活用便覧」という本を書かれている組織・人事のコンサルタントで、おそらく、日本で一番コンピテンシーに詳しいコンサルタントです。

ここまでだとお金を出せば聞けるかもしれませんが、実は、このセミナーを企画するに当たって、永井さんがPMCDFについてもご自分で研究され、言及していただけることになりました。結構、画期的なセミナーです。

おまけにタダ!

セミナーは、永井さんの講演の後に、弊社の宣伝タイムが入る形の無料セミナー
(終了しています)です。
これを逃す手はありません!奮って、ご参加ください!

お申し込みはこちらです。

◆お奨め図書
  好川哲人:プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.