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■プロジェクトマネージャー養成マガジンプロフェッショナル■    2005/10/27
  PMコンピテンシーに効く 読むサプリメント 【PMサプリ】
サプリ1:可能性を見通す
     〜できるかどうかより、できるかできないかを判断できることが重要〜
    プロジェクトマネジメントオフィス 好川哲人
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【PMサプリ1:可能性を見通す】

 できるかどうかより、できるかできないかを判断できることが重要


【効用】

・PM体質改善
  自信をつける、リスク管理能力アップ、自己統制力アップ
・PM力向上
  プロ意識の向上、実行力向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
  弱気克服、プロジェクトにおける辛さの克服


【成分】

◆次のあなたの仕事について考えてみてください

あなたの次の仕事として

プロジェクト1
新規商品の開発のプロジェクトマネージャー。開発予算2億円。この商品が開発でき
れば、間違いなく爆発的に売れるだろう。しかし、商品開発にはいくつかの技術的な
問題が横たわっている。

プロジェクト2
受注開発商品の開発プロジェクトマネージャー。開発予算2億円。営業活動の詰めが
甘く、うまくやらないと赤字を出してしまう可能性がある。技術的な問題はない。顧
客は若干難しい顧客だが、過去に取引実績もあり、大きなトラブルが発生したことは
ない。

プロジェクト3
現行商品のマイナーチェンジの開発プロジェクトマネージャー。開発予算は2億円。
現行商品は市場こそ小さいが競合はなく、今後も競合がでてきそうな気配もない。

の3つが提示されました。あなたならどの仕事を選びますか?

これは、著者がプロジェクトマネージャーのアセスメントでよくする質問である。だ
いたいの答えの比率は

 プロジェクト1:プロジェクト2:プロジェクト3=1:3:1

といったところである。なぜ、このような結果になるのだろうか?


◆岡野工業・岡野社長の言葉

話は変わるが、岡野工業という金型・プレス加工メーカーがある。「刺しても痛くな
い注射針」の開発で注目を浴びている中小企業だ。岡野工業は有名な注射器以外にも
さまざまなイノベーティブな仕事をしており、業界では有名な中小企業である。

その岡野工業を率いるのが岡野雅行社長である。岡野社長の発言で非常に印象に残る
ものがある。

岡野工業は当然のことながら、傍からみていると、岡野社長の卓越した技術力で活躍
しているように見える。これに対して、岡野社長は

「よく、技術力が高いと言われる。確かにこの地域だとそうだと思うが、関東全域と
なると、正直、他にもできるところはあると思う。全国となると必ずあるだろう。し
かし、僕にしかできないことがあると思っている」

と前置きをし、

「うちが、他のメーカができないことをできているのは、できるかできないかという
判断が、僕にしかつかなかったということなんですよ。他のメーカは、わからないか
ら手が出せなかった。僕にはなんとなく解決の糸口が見えた」

という。

プロジェクトマネージャーに必要なのは、これだと思った。このような判断を行うた
めにしかるべきスキルやコンピテンシーが必要なのだ。

できるか、できないかを判断する力、つまりは、「見通す力」である。加えて、だい
たい、こうすればできるだろうという見通しをつける力でもある。

ここで、考えたいことは「こうすれば必ずできるという見通しをつける」だけでは不
十分だということだ。これだとできなければ、それでおしまいで、別の方法や別の道
を考えようということになり、決して他社にできない仕事はできなかっただろう。

これに対して、岡野社長が言っているのは、「結果としてはできないかもしれないが、
ビジネスとして取り組める」という判断である。つまり、リスクを含んでいるが「や
れる」という判断なのだ。この判断は岡野社長の言うとおり難しい。


◆リスクを含む判断は難しい

「確実にできる」という判断は技術的な裏づけとか、経営的な裏づけなどであって、
そんなに複雑なものではない。ところが、「やれる」という判断の中にはさまざまな
要素が含まれる、極めて高度な判断である。

もう一度、最初の例に戻ろう。「プロジェクト2」はスキルがあればできる。なにを
クリアすればできるかという課題も見えているからだ。

ところが「プロジェクト1」はスキルがあるだけではできない。課題が見えていない。
課題が見えていないということは、論理的な判断以外の要素が入ってくる。そこには、
スキル、経験などだけではなく、自分自身の覚悟まで問われる。実際に、覚悟がなけ
ればできないだろう。できるかできないかの判断というのはそのような総合的なもの
である。

さて、ここまで、プロジェクト全体を対象に大きな議論してきたが、この議論はそん
な大きな話だけではない。プロジェクトの各局面で、進むべき道を選ぶときに常に付
きまとう。例えば、あるアクティビティをあるスケジュールでやるという計画を作る
ときにはそのアクティビティができるかどうかという判断をしなくてはならない。


◆「見通す」力は失敗で強化できる

さらに、ここで考えてほしいことは、見通す力というのは先天的なものではないこと
だ。訓練や経験の結果得られるものである。ということは、見通しがつかないプロジ
ェクトに取り組み、懸命に見通しをつけようとするという過程が必要である。ところ
が、なかなか、そのようなプロジェクトに遭遇しない。もっと正確にいえばならない。
見通しのつく範囲でしか、しないからである。

このような能力向上は失敗の中で初めて生まれてくるように思う。当たり前のことだ
が、失敗をしてみないとどこまでできるかわからない。

リカバリーの方策をもち、自信を持って失敗しよう。そして、その経験を活かし、
「できるかどうかの判断」ができるようになろう。そして、常に、「プロジェクト1」
を選べるプロジェクトマネージャーになりたいものである。
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