第35回(2007.03.07)
スリップ・チャート
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

◆スリップ・チャート
今回は、タイム知識エリアのスケジュール・コントロールプロセスのツールと技法である差異分析の、一手法としてのスリップ・チャートを取り上げます。
(注:PMBOKでは、特にスリップ・チャートという用語は出てきません)

スケジュールの差異分析では、ベースラインである各アクティビティのスケジュールの予定開始日と実績開始日、予定完了日と実績完了日を比較し、その差異を分析することで、差異が変動したときや遅れが発生したときに有効な是正処置を行うことができます。

スリップ・チャートでは、横軸に時間(週もしくは月など)をとり、縦軸に遅れや進みをとり、真ん中を0とします。

そして、進捗報告のタイミングで各アクティビティの完了日は合計何日遅れているか、または進んでいるかをスケジュール・ベースライン(スケジュールの承認された計画のことで、各アクティビティの予定完了日が設定されているもの)と比較して日数もしくは週数で求めて、グラフにプロットしていきます。

また、次の進捗報告でも同様に、予定完了日と実績完了日の比較を行い、時間軸に沿ってグラフにプロットしていき、プロジェクトの完了日を予測する手法です。

通常、スケジュール・コントロールプロセスの進捗レビューでは次の5点について判断して今後を予測し、対応策を決めていきます。

1.差異はどれくらいか
2.差異の原因は何か、対処は必要か
3.現在の傾向がそのまま続けば、予測される完了日はいつか
4.この後、どのようなリスクが発生しそうか、リスクの発生で完了日は遅れるのか
5.予測される完了日がベースライン通りであることを実現するためには、突発的な
事象に対してどのような対処を取るべきか

これらの5点に対して、スリップ・チャートは作成が容易であり、視覚的に簡単に判断でき、グラフによって情報を共有することができ、完了予測日の算出が容易である
という利点があると言われています。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。

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