第33回(2007.02.23)
クリティカル・チェーン
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

前回は、リスク知識エリアのリスク・マネジメント計画書の内容に含まれているリスク区分を取り上げました。


◆クリティカル・チェーン法
今回は、タイム知識エリアのスケジュール作成のツールと技法であるクリティカル・チェーン法を取り上げます。

クリティカル・チェーンは決定論的アプローチと確率論的アプローチを組み合わせてプロジェクト・スケジュールを作成するスケジュール・ネットワーク分析技法です。

クリティカル・チェーンでは、スケジュール・ネットワークは最後から作成していきます。

つまり、最後のアクティビティからその前に行う先行アクティビティを洗い出し、順に最初のアクティビティへとネットワークを作成してきます。つまり、ネットワーク図を右から左へ作成していきます。

次に、各アクティビティの所要期間見積を行いますが、ここでは、厳しい見積値を出していきます。50%くらいの確率でできそうな所要期間と標準の所要期間を見積ります。そして、各アクティビティにリソースを割り当てて、リソースの可用性を判断して、ネットワーク図を修正していき、スケジュールを作成します。

ですが、見積が50%の可能性しかありませんので、アクティビティの遅れる確率が50%ということですので、最短のスケジュールに対して、すべての見積の厳しい見積値と標準の見積値の差を合計し、その半分の値を最後に作業のないアクティビティとして、スケジュールに追加します。これが、スケジュール・バッファと呼ばれ、この値によって、スケジュール遅延のリスクを管理していく技法です。

この厳しい見積値でアクティビティ所要期間を設定する方法は、学生症候群を排除することにも有効な手法だと言われています。

通常、作業に対する納期があれば、できそうな期間を見積もって作業開始時期を後ろから算出してしまいがちですが、クリティカルチェーンでは、できそうな期間が50%の確率ですので、できない確率も50%ですから、着手時期を遅らせたり、時間があるので作業を後回しにするということは恐ろしくてできなくなります。

ですので、決められた着手日にきちんと作業を開始し、他に作業を並行して行わず、作業の効率化ということにも有効と言われています。

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