第24回(2006.10.27)
QC七つ道具
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
前回も続けて、スコープ知識エリアの「スコープ定義」のツールと技法であるプロダクト分析の中のシステム工学を取り上げました。



今回は、品質管理のツールと技法であるQC七つ道具を取り上げます。
プロダクト分析の他の技法は次回にします。

◆QC七つ道具
品質管理(QC)は、プロジェクトの結果が品質計画で設定した品質規格に適合しているかどうか判断するために結果を監視し、不満足な結果の原因を除去するための方法を特定するプロセスです。

結果を監視し、不満足な結果の原因が除去できたかどうかチェックするためのツールとして、統計的サンプリング、検査と欠陥修正レビューがあります。

QC七つ道具は、欠陥の監視、不満足な原因の特定、除去するための方法の特定のどの場合にでも使用することのできるツールであり、品質保証(QA)のツールと技法としても取り上げられています。

その七つの道具とは、

1.特性要因図
 潜在的な問題や結果につながるさまざまな要因を分析するツールで、魚の骨の形に似ているところから、魚の骨ダイアグラムと呼ばれています。魚の頭に問題(欠陥)を書き、そこから直線(大骨)を引き、その問題の原因を分類して何本かの中骨を大骨から引き、そして、その原因を分析し、出てきた要因を中骨から小骨として引いていきます。このようにして、どんどん原因を分析して小さい骨として記入していくことで、問題と原因・要因を一覧できるツールです。

2.管理図
 許容範囲内の変動か、何か特別な影響による変動かを判断するためのデータ収集ツールです。横軸に時間、縦軸に変動を見たい変数(例えば、レスポンスタイムなど)をとり、その変数が管理限界にあるかどうかを見ていきます。管理限界とは平均値の上方3σ(σは標準偏差)、下方3σの範囲内のことです。ただし、七の法則というものがあり、平均値の上方(または下方)に続けて7回データが続くとそれは異常な状態であるという法則です。

3.フローチャート化
 プロセスをフローチャート化し、どこに問題が発生する可能性があるかを分析します。

4.ヒストグラム
 変数の分布を示す棒グラフであり、横軸に度数(ある値の範囲、問題・状態の属性や性質)、縦軸にその発生回数をとり、どの度数のデータが多いかを判断することができます。また、分布の形と幅によって問題を識別することができるツールです。

5.パレート図
 ヒストグラムの一種であり、発生頻度順に並べ、その累積を折れ線グラムでプロットします。
よく知られている法則にパレートの法則という考えがあり、これは問題の80%は20%の原因で発生するということです。銀行の預金残高全体の80%は、20%の大金持ちが預金しているという考え方、というか現実だそうです。

何か問題(欠陥)がある場合、原因別に発生回数を調査し、パレート図を作成し、原因の中で発生回数の多いほうから原因総数の20%を解決すれば、欠陥の80%は解決できると考えることができます。

6.ラン・チャート
 データを発生順にプロットするグラフであり、履歴と変動パターンを表します。時間軸に関するプロセスの傾向、変動を見ることができるツールであり、傾向分析はラン・チャートを用いて行います。

7.散布図
 2つの変数間の関係をパターン化するグラフであり、横軸と縦軸に2つの変数(独立変数と従属変数)をとり、その結果をプロットし、対角線上に点が集中していると相関関係が深いことを確認することができます。

品質管理では、統計的サンプリングによって行った検査の結果を、これらのツールで分析し、品質規格に適合しているかどうかを判断します。

次回は、「スコープ定義」のツールと手法であるプロダクト分析の他の技法です。

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