第10回(2006.07.07)
コスト見積り
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの10回目として、コスト知識エリアの「コスト見積り」プロセスのツールと技法を取り上げることにします。

コスト知識エリアは、プロジェクトを承認済み予算内で完了するために必要なコストの計画、見積り、予算化、コントロールのプロセスから構成され、スケジュール・アクティビティを完了するために必要な資源のコストを見積もることからスタートし、すべてのプロセスと関連していきます。

◆コスト見積り
コスト知識エリアの最初のプロセスである「コスト見積り」プロセスでは、スケジュール・アクティビティを完了するために必要な資源のコストの概算を作成します。このコストの概算は、プロジェクトの立上げでは、見積りの精度は−50%から+100%の超概算見積りですが、プロジェクトが進み、情報を得ることでその精度は向上していきます。

「コスト見積り」プロセスの主なインプットとアウトプットは、以下の通りです。

インプット
・組織体の環境要因:市場状況など
・組織のプロセス資産:コスト見積り方針、過去の情報など
・プロジェクト・スコープ記述書:
・WBS:
・WBS辞書:
・プロジェクトマネジメント計画書
 補助の計画書であるコスト・マネジメント計画書:コストの計画、組織化、見積り、予算化、コントロールのための基準を設定
 スケジュール・マネジメント計画書:必要な資源の数量など
 要員マネジメント計画書:要員の単価など
 リスク登録簿:リスク対応策など

アウトプット
・アクティビティ・コスト見積り:アクティビティを完了するために必要な資源のコスト
・アクティビティ・コスト見積り詳細資料:アクティビティの作業スコープ記述、見積りの根拠(見積り方法)、前提条件、制約条件など
・要求済み変更:コスト見積りを行うことによって生ずる変更
・コスト・マネジメント計画書(更新版):要求済み変更による更新

そして、「コスト見積り」プロセスのツールと技法は、タイム知識エリアの「アクティビティ資源見積り」と「アクティビティ所要期間見積り」と、タイムとコストの違いはありますが、同じものが多いです。

・ボトムアップ見積り:アクティビティ資源見積りと同様
・類推見積り:アクティビティ所要期間見積りと同様
・係数見積り:アクティビティ所要期間見積りと同様
・予備設定分析:アクティビティ所要期間見積りと同様

異なるものとして、
・資源単価:各資源の単位あたりの価格
・品質コスト(COQ):予防コスト、評価コスト、不良コストの総計
などがあります。

「コスト見積り」プロセスでは、コスト・マネジメント計画書に書かれている見積りの方針や見積りの基準などに従って、プロジェクトで達成すべき成果物を完成させるために必要なスケジュール・アクティビティでの資源のコストをそれぞれ見積もっていきます。そのツールと技法として、種々の見積り方法があります。

次回は、「コストの予算化」です。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。


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