第4回(2005.04.14) 
これは使えるぞ!PMBOK3(4):スコープ
 

◆各知識エリアで変更されたプロセス(2)
 前回に引き続き、知識エリアの観点からの変更点について、特に変更されたプロセスについて記述します。

ここでは、
△:立ち上げプロセス群
○:計画プロセス群
◎:実行プロセス群
●:監視コントロール・プロセス群
▲:終結プロセス群
でプロセス群を表現しています。

■プロジェクト・スコープ・マネジメント
スコープ知識エリアには、計画プロセス群と監視・コントロールプロセス群のプロセスがあり、計画プロセス群の「WBS作成」が新規に追加されています。

プロジェクト・スコープ・マネジメントは、プロジェクトに何が含まれるか明確にし、そのプロジェクト・スコープをコントロールするために必要なプロセスから構成されています。

○「スコープ計画」
2000の「スコープ計画」では、スコープ記述書とスコープ・マネジメント記述書を作成していましたが、PMBOK3では、スコープ記述書の作成が「スコープ定義」に移っています。また、スコープ記述書は、プロジェクト・スコープ記述書という名称になり、立ち上げプロセス群の「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成(統合知識エリア)」で暫定版を作成するという流れに変わりました。

プロジェクト・スコープ・マネジメントの最初のプロセスである「スコープ計画」では、プロジェクト・スコープをどのように定義し、検証・コントロールするか、WBSをどのように作成するか文書化したプロジェクト・スコープ・マネジメント計画書を作成しています。まず、マネジメント計画書を作成しましょう、という流れですね。

○「スコープ定義」
2000の「スコープ計画」では、WBSとスコープ記述書更新版を作成していましたが、PMBOK3ではWBSは「WBS作成」に移っています。ここでは、「スコープ計画」で作成されたプロジェクト・スコープ・マネジメント計画書に従って、プロジェクト・スコープ記述書を作成します。プロジェクト・スコープ記述書には、プロジェクト目標、成果物スコープ記述書、プロジェクトに対する要求事項などの項目が含まれます。

また、ツールと技法にステークホルダー分析が追加されています。

ステークホルダーの影響と利害を識別し、ニーズ、要望などを優先順位付けし、要求事項をまとめると書いています。

○「WBS作成」
PMBOK3で新規に追加されたプロセスであり、プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書に従って、プロジェクト・スコープ記述書を要素分解してWBSを作成します。

また、WBSをサポートする文書であるWBS辞書と、スコープ・ベースラインを作成します。WBS辞書は、個々のWBSの構成要素に対し、作業範囲記述書、担当組織などを含みます。プロジェクト・スコープ記述書と関連したWBSとWBS辞書がプロジェクトのスコープ・ベースラインになります。

●「スコープ検証」
作業と要素成果物が要求事項と成果物受入基準に適合しているかどうかを確認するための検査を行い、プロジェクト・スコープと関連する要素成果物についてステークホルダーの公式な承認を受けるプロセスです。

●「スコープ・コントロール」2000の「スコープ変更管理」から名称変更されたプロセスです。スコープ変更が発生した場合、その変更をマネジメントするときに実行され、他のコントロール・プロセスとの間で統合されます。

今回はスコープ知識エリアのプロセスについて記述しました。次回は、タイム知識エリアです。

◆お奨め図書
もちろん、PMBOK第3版の日本語版です
 Project Management Instytute
"A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation"(2005.2)
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.