第1回(2005.01.12) 
これは使えるぞ!PMBOK3(1)
 

◆PMBOK2000と2004

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)はプロジェクトマネジメント知識体系と訳され、プロジェクトマネジメントの知識の総和であり、プロジェクトマネジメント実務の参考図書、標準的な用語集となっています。
昨年までは2000年12月に更新され、2003年に和訳された第2版であるPMBOK2000が主流でした。しかし、昨年11月に第3版であるPMBOK3がリリースされました。もうまもなく和訳され、2005年はセミナーや出版物などから徐々にPMBOK3に切り替わっていくことが予想されます。もっとも、PMP試験は問題の和訳の関係から半年以上はPMBOK2000で出題されると思われます。

また、PMIでは、あらゆる標準を5年リフレッシュ計画で考えているそうで、

 標準刊行後、
 1年間刊行をお祝する期間、
 その後3年間標準をリフレッシュするためのプロジェクト実施期間、
 そして1年間が予備期間(ボランティアで行うため、なかなか順調に進まない)

だそうです。すると次のPMBOK4は2009年リリースということでしょうか。
 

◆PMBOK3の主な変更点

PMBOK2000と比べて、知識エリアに変更はありません。

プロセス群は「コントロール・プロセス群」が、「監視コントロール・プロセス群」に名称変更されています。プロセス数は2プロセス削除、7プロセス追加され合計39プロセスから44プロセスに増えました。

□削除されるプロセス
 立ち上げプロセス群の「立ち上げ」
 終結プロセス群の「完了手続き」

□追加されるプロセス
 ◇立ち上げプロセス群
  「プロジェクト憲章作成」(統合知識エリア)
  「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」(統合知識エリア)
 ◇計画プロセス群
  「WBS作成」(スコープ知識エリア)
 ◇実行プロセス群
  なし
 ◇監視コントロール・プロセス群
  「プロジェクト作業の監視コントロール」(統合知識エリア)
  「プロジェクト・チームのマネジメント」(人的資源知識エリア)
  「ステークホルダー・マネジメント」(コミュニケーション知識エリア)
 ◇終結プロセス群
  「プロジェクト終結」(統合知識エリア)

PMBOK2000で、ちょっと説明が苦しいなあと感じていた部分がすっきりしてきたように思います。

また、13プロセスが名称変更になっています。例えば、2000では、統合知識エリアの「プロジェクト計画の策定」(Project Plan Development)ですが、3版では、「プロジェクトマネジメント計画書作成」(Develop project Management Plan)というように名称変更されています、がそれだけではなく、2000では「リスクの監視・コントロール」ですが、3版では「リスクの監視コントロール」というように、中点だけが削除されている和訳のみの変更などもあります。このような名称変更が最もややこしいですね。

その他、

 内容の統一性改善、
 用語集の拡大・改善、
 図式表現の増加

などが変更されています。

 今回の更新で私が最も気を引かれたことは、調達についてです。特に、引合(Solicitation)という言葉がある言語でよくない意味を持つそうで、全面的に名称変更になっています。


◆PMBOK3の章立て

PMBOKガイド2000では

第1部でプロジェクトマネジメント・フレームワークとして
 第1章で序論、
 第2章でプロジェクトマネジメントの環境について、
 第3章でプロジェクトマネジメントのプロセスについて、

第2部4章から各知識エリアについて
論じています。

 PMBOK3では、第1部第3章が新たに第2部で単一プロジェクトのプロジェクトマネジメントの標準として独立し、第3章として単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント・プロセスとして論じています。これは第1章序論でプログラムとプログラムマネジメント、ポートフォリオとポートフォリオ・マネジメントについての標準的な定義をし、第3章以降は単一プロジェクトについて重点を置いていることを強調するためです。

 第2部が独立したことにより、PMBOK2000の第2部以降がそれぞれ第3部以降に変更になっています。

今回はPMBOK3の概要について、簡単にまとめましたが、次回以降はプロセスの変更点について、記述しようと思っています。
◆お奨め図書
もちろん、PMBOK第3版の日本語版です
 Project Management Instytute
"A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation"(2005.2)
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読者からのコメント
PMIでは、あらゆる標準を5年リフレッシュ計画で考えているそうで、・・・次のPMBOK4は2009年リリースということでしょうか。」というくだりがありますが、PMBOKは1996年版、2000年版、2004年にV3が発行されているのは周知のとおりです。過去にはオリンピック・イヤーすなわち4年に1回発行されており、V4の発行は2008年だと思われます。この4年に1回リフレッシュされるということは我々PMPの仲間内では半ば常識みたいに考えていましたが、貴兄が5年リフレッシュ計画と言っておられるのは何に基づいてのご発言でしょうか?もしそうだとすると、過去の発行年次をどのように考えればいいのですか?ご意見をお聞かせください。 東谷 彰さん(講師)
PMI東京フォーラム2004(2004.11.29〜30)の基調講演「PMの基準-PMプロセス PMBOKガイド第3版−改訂の要点」でPMI5年リフレッシュ計画を聞きました。本部理事のSteve Fahrenkrog氏は、ボランティアの活動が大変なこととおっしゃっていたように記憶しています。 鈴木 道代
PMI 2002(PMIの年次総会)で、PMI Standard ManagerのSteven L. Fahrenkrog氏が以下のように述べていました。
PMIの標準は5年サイクルで更新する。
・1年目:最初の1年は、標準の発行を祝う
・2年目〜4年目(3年間):標準の更新版を作成する
・5年:スケジュール上の予備
これまでのPMBOKの更新が1996年、2000年、2004年と行われてきたのは、予備を使わなかったために、4年ごとになったと考えられます。
hiroric

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