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第65回(2004.08.30) 
問題解決と学習(2)

◆Whyを5回繰り返せば、、、
 前回、2つのトラブル再発事例を紹介したが、その意味あいをご理解いただけたであろうか?最初の事例はアナロジーとして考えて、同質の問題を探すべきだということを主張している。2番目の事例は同じ問題が違うトラブルを引き起こすという話であり、こちらは問題の本質をつきとめ、その本質を解消しない限り、変わらないという例である。

 さて、ここで考えてみたいのは、本質的な問題とはなにかということである。作業改善でよく言われることに、「Whyを5回繰り返してみれば、問題の本質に行き着く」という名言がある。

もう一度、前回の事例2を見てみよう。

【事例2】
顧客に期日を明確に伝えておらず、顧客からのデータの提供の遅れで設計のスケジュールが遅れてしまった。そこで、顧客のスコープとの関係が出てくる場合には、顧客への確認を周知徹底しようということを申し合わせた。その後、スケジュールでトラブルことはなかったが、顧客へのヒヤリングが不十分だったのだ、要求の実現漏れがあり、仕様の差し戻しがあり、結局、納期は大幅に遅れた。

この事例で、アクティビティのとり方にもよるが、プロジェクトが問題として認識するのは、おそらく設計のスケジュールが遅れたことである。ここで、はじめて問題が認識されると同時に、問題解決が始まる。ここから、Whyを考えていく。

◆前回事例2の分析
 「なぜ、設計スケジュールが遅れたのか」ということを考えて、調査をしていく。すると、プロジェクトメンバーの作業スケジュールは予定通りに進んでいたにもかかわらず、顧客のデータ提供が遅れていたことが判明した。そこで、「なぜ、顧客のデータ提供が遅れたか」ということになる。さらに調べていくと、プロジェクト側から顧客に正確に納期を伝えていなくて、できれば、「7月末までにお願いします」といったあいまいな言い方をしていたことが分かった。もちろん、7月末までに実際に実行されれば、プロジェクトのスケジュールは問題なく進むのだ。ここで、「顧客コミュニケーションが悪いことがこの問題を引き起こした原因だ」と判断し、やめてしまってもよいかもしれない。

 しかし、このようなあいまいな言い方をしたのにはそれなりの理由があるのかもしれない。そこで、もう少し、Whyを続けてみるのだ。直接、顧客に指示(依頼)をしたAさんに聞いたところ、顧客に依頼することについては、指示ではなく、あくまでも依頼であり、顧客がそれをきちんとやってくれるかどうかは分からない。できるだけ、気持ちよくやってもらうために、強く言えないのだという。つまり、「スコープの区分と契約内容に問題が原因だ」のだ。この問題は、この後も、たとえば、テストなどにおいて同じ問題を引き起こすことがあるし、また、契約上は別の金銭的問題を引き起こすかもしれない。

 何よりも、「顧客コミュニケーションが悪いことがこの問題を引き起こした原因だ」というところでとまることと、「スコープの区分と契約内容に問題が原因だ」という1ステップだけ深いところまで行ったことの違いをよく認識しておいてほしい。

◆具体性と一般性
 対策が具体的になることが最大の違いである。最初のところでとまれば、「顧客コミュニケーションを重視して進めよう」とか、「隔週の顧客とのミーティングを毎週にしよう」といった解決策しか出てこないだろう。ところが、後者の場合だと、「スコープ区分をもう一度、確認しよう」とか、あるいは「契約の運用についてもう一度協議しよう」といった解決策が出てくる。つまり、「具体性」が異なる。

 具体的になればなるほど、一般性が失われるではないかという意見もあるだろう。つまり、「顧客コミュニケーションを良くする」という対策は、「スコープ区分を確認する」といった対策と較べるとはるかに解決できる問題が多いではないかという意見である。

 あなたはどう思うだろうか?ここに問題解決の本質がある。

 (次回に続く)
 

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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