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第48回(2004.01.26) 
プロジェクトマネジメントの成功とは(1)
 

◆プロジェクトマネジメントの成功と失敗

 経営堂というコンサルティング検索サイトで「プロジェクトマネジメント成功の法則」というコラムを始めた。

早速、読者の方から質問を頂戴した。

  プロジェクトマネジメントが成功するってどういうことですか?

実は、プロジェクトマネージャー養成マガジンでは、プロジェクトマネジメントが成功したとか失敗したとかいう議論はしたことがない。というより、意識的に避けてきた。経営堂のコラムは経営者向けという読者設定もあってこのようなストレートなタイトルにしたのだが、やっぱり来たかという感じだった(ちなみに、質問を下さったのは、養成マガジンの読者の方)。

 プロジェクトマネジメントに限らず、マネジメントが成功しているかどうかの判断は非常に難しい。失敗の判断は簡単だ。プロジェクトの目的が達成できなければ、プロジェクトマネジメントは失敗である。

◆逆は真ならず
 ところが逆は必ずしも真ではない。つまり、プロジェクトが成功したからと言って、プロジェクトマネジメントが成功したとは言い切れない。現にプロジェクトマネジメントはどう考えても失敗しているようなプロジェクトが、目的を達成しているような例はいくらでもある。
 また、こんなことも考えられる。3ヶ月でシステムを完成させる計画を作ったとしよう。このときに、2ヶ月で作業が終わったとする。これは結果オーライであるが、プロジェクトマネジメントをしては必ずしも成功しているとは考えにくい。むしろ、失敗と考えるべきかもしれない。第一、計画が良かったとはいえない。

◆プロジェクトマネジメントに成功はあるのか?
 では、プロジェクトマネジメントが成功するとはどういうことなのか?それ以前に、プロジェクトマネジメントは本当に失敗、成功の議論の対象なのだろうか?まず、この点については、評価という意味も含めて議論の対象にすべきだ。

 では、成功をどう考えるか?評価を考える前に考えるべきことがある。それは、マネジメントに対する計画である。プロジェクトの計画は作っても、プロジェクトマネジメントに対する計画は作ることは少ない。PMBOK(R)のすばらしいところは、プロジェクトマネジメントに対する計画も定義できるようなフレームワークになっているところだが、実際にはあまり作らない。

 マネジメント計画とは何かというと、一言でいえば、PDCAサイクルの設計である。一つの例を挙げると、進捗管理基準の設定がある。プロジェクトがうまく行っているかどうかを判断する基準である。このようなマネジメント基準は本来、計画として事前に作られるべきものである。もっと一般的にいえば、PDCAサイクルをどのような判断でまわしていくかをきちんと決めておかないと、マネジメントは常に場当たり的になる。これはプロセスが定義されていないという意味ではない。

 ここで注意が必要なことは、プロセスが定義されていることと、計画されていることは別の次元の話だということだ。プロセスが定義されていても、判断基準が定義されていなければ場当たり的になる。

 今回はここまでにする。


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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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