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第45回(2003.12.15) 
計測する(2)
 

◆計測手段としてのEVM

 戦略ノート第44回[計測する(1)]を読んだ読者の方から

 計測する手法が成立していなくても、EVMによってアクティビティの進捗をコスト換算で表現できるのではないか?だとすると、プロジェクトマネジメントにとって、プロセスが定量的に計測できることは必須条件だといえないのではないか?

という質問を戴いた。

 これは正しい。例えば、宇宙構造物を1機作ることを考えてみると、ほとんど正しいといえる。つまり、作業量を定量化する方法として、人工、あるいはコストというのは妥当な方法であり、そこに収まりきらないものは、リスクとして扱えばよいからだ。実際にそれはリスクなのだ。

 どうしてこのような扱いができるかといえば、成果物と人工(コスト)がリニアであるからだ。リニアという言葉が分かりにくいようであれば、正比例すると考えてもらえばよい。平たくいえば、コストに比例して、成果物は多くなる。

 もちろん、個人差がないという意味ではない。製品設計作業にしろ、工程設計作業にしろ、その成果は十分に個人の能力に依存している。しかし、押しなべてみれば、あまり個人能力に成果物が依存することはないだろう。むしろ、マネージャーの能力に依存する部分の方が大きい。

 ITの場合でも同じことがいえる。巨大なシステムになれば成果物と人工はリニアで個人能力への依存も含めて、リニアにならない部分はリスクとして扱える。したがって、EVMのような手法でコストで成果物の計測を行うことは可能である。


◆プロジェクト小規模化の落とし穴

 しかし、小さなプロジェクトになると、対象がシステムであろうと、建築物であろうと、この図式は成り立たない。知り合いの建築士さんから、一軒家を建てるのに大工の腕で30〜50%は納期が工期が違ってくるという話を聞いたことがある。ITであれば、説明の必要もないだろう。SEやプログラマーの個人の能力により歴然とした違いがある。

 ここで問題にしたいのは、最近のプロジェクトの傾向である。インターネットの普及が契機になり、ITの世界ではいろいろなことがおきている。その中の一つが、プロジェクトの小規模化である。システムそのものは大規模化、複雑化しているが、その構成方法が分散型になり、構築方法もステップを踏むようになってきている。特に注目したいのは、あるサブシステムはA社に頼んだが、次に手がけるサブシステムはB社に頼むということが日常化してきている。昔のように今年度の予算ではここまでやりましょうというのとは少しニュアンスが変わってきているのだ。

 こうなると、プロジェクトの規模はどんどん小さくなる。すると、プロジェクトマネージャーが不足し、会社に入って2〜3年目の人材をプロジェクトマネージャーにするような人材オペレーションも日常化している。そこで、PMBOKのような標準を導入し、経験の乏しい人材でもそれなりのプロジェクトマネジメントができるようにしようとする。

 この流れの中で、一つ抜けているのが、「計測手段の確立」である。形ばかりの管理はできても、本当の意味でのマネジメントはできない。それは、小さいプロジェクトであっても、経験の乏しい人材ではプロジェクトの定量的な把握(見積もり、進捗管理)ができないためだ。

◆定量化の具体的な方法について
 それから、もう一つ、読者からの要望があった。それは、具体的なソフトウエアの定量化の方法を説明して欲しいという要望だ。これについては、申し訳ないが、プロジェクトマネージャー養成マガジンでは予定していない。このメルマガでは分野に特化したトピックスは避ける方針だからだ。この要望にお応えする方法として以下の2つを準備している。一つはAllAboutJapan<ソフトウエアエンジニア>サイトである。ここにソフトウエアの定量化に関するおすすめサイトリンク集がある。また、見積もりに関する好川のガイド記事もある。


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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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