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第38回(2003.08.18) 
プロアクティブプロジェクトマネジメント(2)
 

◆プロアクティブとは何か?

 まず、プロアクティブというのはどういう概念かに触れておく。プロアクティブとは

 「
先を見越した行動をとる、率先して行う

ことである。

 どうすれば、プロアクティブになれるのか?


◆プロアクティブへの3つのキーワード

 プロアクティブへの最初のキーワードは「
自責」である。

 例えば、プロジェクトの中で、品質上のトラブルが起こっているとしよう。その際にまず、自分に問題がないかどうかを考える。これは当たり前だが、結構、難しい。企業の文化にもよるが、まず、自分の責任以外のところに原因を探すという習慣がある人は決してすくなくないだろう。

 これで終わりではない。

 次のステップでは、問題が起こる前に、自分が問題を引き起こす可能性がないかどうかを常に考えておく。あれば、それを消しこんでいく。

 二番目のキーワードは「
自立」である。

 何をいまさらと思うかも知れないが、「自立」させることだ。ただし、自立というのはこういうことだ。プロジェクト活動というのは連鎖である。例えば、作業に順序関係があるケースが分かりやすい。前の作業が遅れれば、後の作業は遅れる。遅れるだけではすまない。納期は変わらないから、後の作業のスケジュールは圧迫される。計画通りの時間さえ取れなくなる。

 自立するとは、この連鎖を乱さないということである。

 三番目のキーワードは「
自主」である。

 自主はそのものがプロアクティブだといってもよいが、「自責」、「自立」ができて、初めて「自主」が生まれる。

 これらのキーワードが、プロジェクトマネージャーをはじめとして、みんなに普及したときに始めて、プロジェクトマネジメントがプロアクティブになる。

◆スコープ、スケジュール、コスト
 このような議論をすると、スコープ定義さえきちんとしていれば何も問題ないじゃないかと考える人も少なくないだろう。確かに、それも一理ある。しかし、スコープの正確な定義など、考えようによってはできるもではない。従って、ここでもプロアクティブという姿勢が求められる。つまり、自分の責任範囲を自ら積極的に、かつ、協調的に決めて行くことが必要である。言い換えると、計画変更をプロアクティブに行っていくことが肝要である。

◆リスク
 リスクに対しては、計画的にリスクを扱うことに尽きるだろう。つまり、考えられることだけはやっておき、後は知らないというのではなく、きちんとリスクを見極めたうえで、取りあえず、進む。その上で、リスク事象に対して、プロアクティブな観察をし、早いタイミングでコンティンジェンシープランの適用の仕方を検討しておく。

◆コミュニケーション
 コミュニケーションについては、

 コミュニケーションについて考える


を参照して戴きたい。

◆どうすれば、この3つのキーワードをプロジェクトに定着できるのか

 これについては、メルマガでこうだという考えを述べるのは避けたい。好川には好川の考えがあるが、それを求める人はいくら読んでみてもプロアクティブにはなれないだろう。

  
自ら行動し、考え、行動してみて、また、考える

ことが定着の第一歩だと考えている。

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 11.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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