第204回(2009.02.10)
プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理

◆プロジェクトマネジメントの一つ目の顔

そろそろ、本線に戻る。といっても、プロジェティスタのプロジェクトマネジメントというスレッドの最後がもう2ヶ月以上前なので、ほとんどの人は何を言っていたか覚えていないだろう。復習をするのもいいのだが、仕切り直しをしよう。

ずっとしてきた話は、

・何を作るかを考えるプロジェクト
・どう作るかを考えるプロジェクト

は違うということだったのだが、この話を少し違う視点から整理しておきたい。

プロジェクトマネジメントとは何か?この話だ。

プロジェクトマネジメントと呼ばれているマネジメントには2つの顔がある。

一つ目の顔はプロジェクトの状態の管理である。スケジュール、コスト、品質、スコープ、要員稼働状況などのプロジェクトの状態をベースラインとの比較で管理する。そして、もし、差異(問題)が出てくれば、差異を小さくするように持って行く、つまり、是正する。

◆二つ目の顔

二つ目の顔は人のマネジメントである。これはベースラインの管理と密接な関係がある。要求に対して、スコープと品質が仮設定される。そして、そのスコープに対して、プロジェクトメンバーの生産性に基づいたスケジュールやコストが設定される。もちろん、そんな決め方をすればスケジュールが納期に間に合わないとかコストが予算内に収まらないといった問題が出てくることもあるので、スコープ(品質)、生産性を調整することによってスケジュールとコストが目標内に収まるようにする。これがベースライン計画である。

ここで問題になるのは、生産性である。生産性はばらつきがあることが多い。正確に見積もりができていたとしても、気分ややる気に左右される。サポタージュもあるかもしれない。ここが問題で、この問題を抱えている限り、ベースライン計画の作り方が制約されることだ。最悪の生産性を前提にして計画せざるをえなくなる。すると、納期に間に合うものも間に合わなくなるし、コストが思いっきり増えてしまう。

そこで、許容できる範囲で、生産性の目標を掲げ、その目標を達成できるように人をマネジメントをする。

ここまでは一般的な認識になりつつある。プロジェクトの状態を管理するのが、プロジェクト管理、人のマネジメントまで行うとプロジェクトマネジメントと呼ばれることが多い。第一の顔を第二の顔はかなり、異なる顔であるが、どう作るかという視点からの議論である。


◆三つ目の顔

ここに「何を作るか」という視点からの第3の要素を加えたい。本来、マネジメントというのはそういうものではないかと思う。上のような人のマネジメントは「限りなく管理に近い」マネジメントである。

人の管理というと、サボらないようにみておくということだ。あるいは、もう少し譲歩すると、外発的な動機付けは管理の範疇だと思われる。

マネジメントというとここに内発的な動機付けが入る。ここで考えてみてほしいのは、プロジェクトとしてテーマを与えられた時に、プロジェクトの目標達成に対して、内発的な動機が生まれるかどうかである。確かに、例えば、技術的な興味があるので一生懸命仕事をするといったものは内発的な動機であるが、プロジェクトの目標達成に対して動機を持っているわけではない。

やはり、逆に技術の制覇がそうであるように、内発的な動機が生まれるには、自己決定が必要である。では、どのような自己決定をさせればよいか。ここでビジョンが出てくる。一人仕事なら別であるが、集団でやる仕事では個人に課題が与えられ、その課題をやりたいかどうかでは目標を達成するという自己決定にはならないケースが圧倒的に多い。目標と自分の作業の関係が見えないからだ。


◆プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理

ここに自己決定を持ち込む方法は2つある。一つは、個々人の作業と全体の目標の関係づけをすること。今のようにプロジェクトの規模が大きくなってくると、WBSのような仕組みではこれは見えにくい。そこで、もう一つの方法の重要性が高まってくる。それは、ビジョンを示し、目標達成をビジョン達成に置き換えてしまうことだ。
ビジョンを達成したいかどうかは自己決定することが容易である。そこで、この問題は如何に魅力的なビジョンを示すことができるかというリーダーシップの問題になってくる。

このようにリーダーシップでビジョンを示し、ビジョンで目標へ引っ張っていくような活動をこそが、人のマネジメントに他ならない。このような活動をプロデュースと呼ぶ。これこそが、何をしたいか考えるプロジェクトマネジメントである。

以上のような考えて、今後、

 プロジェクトマネジメント=プロデュース+プロジェクト管理

という図式を描いていきたいと思う。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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