第155回(2007.08.21)
プロジェクトの前提条件を検証する

前回は、コミュニケーションがマネジメントの基盤であるという話をした。今回は、この話をもう少し、深堀してみたい。

 第154回 マネジメントの基盤としてのコミュニケーション


◆ダイバーシティとコミュニケーション

まず、最初に考えてみたいことは、なぜ、コミュニケーションがうまく行かないのかだ。第141回で

 141回 プロジェクトにおけるダイバーシティマネジメント

という話をしたことがある。プロジェクトマネジメントは、ダイバーシティマネジメントの実現するための手法であるという話だ。ダイバーシティの問題を解消するためにいろいろな工夫が盛り込まれている。

現実を見たときに、多様性が最も色濃く出てくるのはどこだろうか?多くの人はコミュニケーションだと答えると思う。お互いの理解ができないとコミュニケーションはできないと考える。


◆コミュニケーションと前提条件

ところが、よく考えてみると、コミュニケーションの基盤になっているものがある。プロジェクトの前提条件である。コミュニケーションの必要性すら、前提条件によって決まってくる。

「このチームは10年来一緒に仕事をしてきているメンバーなので、いまさら、コミュニケーションなど必要ない」

というのも一つの前提である。ところが、仮に、事実そうであり、プロジェクトマネジャーがそうだったとしても、メンバーの一人がコミュニケーションで痛い目にあってコミュニケーションが重要だと考えていたとすればこの前提条件は成り立たない。これも多様性である。

この例は極論だが、こんな例には時々出会う。ある人はメンバーは残業してでも協力してくれると思っているが、ある人はメンバーは残業したくないだろうと思っている。この2人が、スケジュールに関する打ち合わせを行うと全然話がかみ合わない。


◆前提条件で合意しないとコミュニケーションはうまく行かない

このように何を前提にしているかを明確にしないことにはコミュニケーションというのはうまく行かない。チームに多様性がある場合にコミュニケーションがうまく行かない理由のほとんどはこれだといってもよい。根底にあるのは文化的な違いだったり、習慣の違い、価値観の違い、経験の違いだったりするするが、結局のところ、出てくるところは前提条件の違いである。

逆にいえば、プロジェクトに参加するメンバーが考えている前提条件を徹底的に洗い出し、そのひとつひとつを検証するとダイバーシティの問題も、コミュニケーションの問題もだいぶすっきりすることが多い。


◆前提条件の検証をする習慣

また、多くの大トラブルが前提条件の不成立で発生している現実を考えると、前提条件の検証の意味は非常に大きい。怪しいものは、前提条件の崩壊をリスクとしてみながら進めていくか、場合によっては、前提条件から外した計画を作ることができるからだ。

プロジェクトの立上げの際に、プロジェクトマネジャーを中心に、プロジェクトスポンサー、主要ステークホルダ、チーム内のリーダーなどが集まり、前提条件を検証する習慣をつけよう。

まずは、コミュニケーション計画標準の中に前提条件の検証を入れることだ!

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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