第117回(2006.09.19) 
リカバリープロセスの標準を作ろう

◆リカバリーに対する対処

これまで、標準やPMツールについて述べてきたが、標準の中やツールの中で、少し変わった位置づけにあるのが、リカバリーに対するそれである。

PMOを作ったときに、リカバリーに対して何らかの対応をする機能を持つのが普通だが、そのパターンはいくつかある。

一つ目は、プロジェクトマネジャーをはじめとする、キーパーソンをPMOが中心になって投入し、トラブルを何とか切り抜けるという対処だ。いわゆる「火消し」と呼ばれるもので、実際には最も多いと思う。このような対処をする場合、PMOがプロジェクトマネジャーを抱えていて投入していくケースもあるが、調整役的な役割を持ち、

 適切なプロジェクトマネジャーの見極め
 そのプロジェクトマネジャーの調達とそれに伴うほかのプロジェクトの調整

などの役割を果たすことが多い。

2つ目は受動的に振舞うケースだ。トラブルに陥ったプロジェクト側からの要請に応じて、要員を確保したり、あるいは、技術的な支援をしたり、あるいは、スケジュールやコスト計画の見直し、リスク分析など、マネジメント的な支援をすることもある。
PMOが個別のプロジェクトに対応できるだけの陣容を揃えているケースは珍しく、現実にはこのように専門性を活かして、要請に応じるというスタイルで支援をしている組織が最も多い。


◆リカバリープロセスの標準がないと危険!

3つ目はリカバリープロセスの標準化である。リカバリーは定型化が必要なプロセスの一つである。多くの人は、トラブル対応はケースバイケースであり、標準化などできない、標準化できるのであれば、トラブルなど起こらないと考えている。しかし、これは、実際のリカバリーの内容(処置)の話であって、リカバリーのマネジメントプロセスを設けずにリカバリーに入るのは危険極まりない。


リカバリーのマネジメントプロセスは、状況の深刻さと将来見通しをアセスメントし、それに基づいて、リカバリーの方針を決め、その方針に従って、リカバリーの計画を作り、トラブルから抜け出し、プロジェクトを安定させるまでの一連のプロセスである。頭の中でこのプロセスに近いことはやっているが、リカバリーにおいては平時以上のリソースが必要になるため、計画を作り、他のプロジェクトとの調整を取りながら進めていかない限り、せっかくそのプロジェクトがピンチを切り抜けても、別のプロジェクトに影響が出てくるといったことになりかねない。

このため、リカバリーマネジメントのプロセスを標準化し、トラブルが発生した際に、そのリカバリーマネジメントプロセスを適用しながら、トラブルに対処していく役割がPMOの役割として重要である。また、そのために、リカバリーソリューションパッケージのようなPMツールの準備も欠かせないだろう。

なお、リカバリーの詳しいプロセスについては、PMOマガジンの

 PMO進化論

の中で議論しているので、興味がある人は読んでほしい。


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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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