第29回(2006.11.02) 
プロジェクトマネジメント計画
 

◆プロジェクトマネジメント計画の3つの柱

プロジェクトマネジメント計画とは、プロジェクトマネジメントとしてコントロールしておきたい内容を計画として表したものであり、大きくは3つの要素がある。

(1)プロジェクトマネジメントの計画
(2)計画データ
(3)開発管理計画

(1)はプロジェクトマネジメント活動の計画であり、

 マイルストーン計画
 スコープマネジメント計画
 スケジュールマネジメント計画
 コストマネジメント計画
 品質マネジメント計画
 リソースマネジメント計画
 調達マネジメント計画
 コミュニケーションマネジメント計画
 リスクマネジメント計画
 変更管理計画

などの計画が含まれる。


◆マネジメント計画でマネジメントの方針を示す

マネジメント計画という言葉の意味があいまいであるが、基本的にはマネジメントの基本方針を示すものである。基本方針とは何かというと、

 ・各マネジメントの考え方、マネジメントの目的
 ・マネジメントの目標設定に対する基準(メトリクス)
 ・マネジメント実施のための体制とコミュニケーション
 ・計画に対する主要リスク
 ・リスクを踏まえた上での問題点とその対応
 ・計画変更の指針と方法
 ・計画データ

などを指している。


◆計画データはベースライン

ここで、「計画データ」とある点に注意してほしい。これがプロジェクトマネジメント計画書の2番目の要素になる。プロジェクト計画書というくくりで考えると、

 スコープマネジメント計画書:WBS、スコープ記述書
 スケジュールマネジメント計画書:プロジェクトスケジュール、クリティカルパス
 コストマネジメント計画書:予算表
 品質マネジメント計画書:品質計画書

などが実体としてある。これらの計画データは「ベースライン計画」である。

ベースライン計画は一種の目標であり、プロジェクトマネジメントの目的は、ベースライン計画として定めた目標を達成することであるともいえる。


◆ベースラインを達成するための補助計画

ここで話が複雑なのは、各ベースライン計画に対して、上に示したようなマネジメント計画を作るのだが、ベースライン計画の達成のためには、これだけでは不十分である。例えば、調達をどうするのか、要員確保をどうするのかといったプロジェクト全体に関わる問題が出てくるし、また、何よりも重要なのは、トレードオフをどのように扱っていくかという問題が出てくる。さらに、リスクやコミュニケーションのように、それぞれのベースライン計画のマネジメント上、考慮する必要があるもの以外に、プロジェクト全体としての配慮が必要なマネジメント要素もある。

そこで、それらに対応するマネジメント計画も必要になってくる。このような経緯で設定されるのが、調達マネジメント計画、コミュニケーションマネジメント計画、リスクマネジメント計画、リソースマネジメント計画、そして統合マネジメント計画などである。


◆「テクニカル」な視点からの開発管理計画

もう一つ、プロジェクトマネジメントの際に欠かせないのが、テクニカルな視点からのマネジメントである。たとえばシステムの開発をするのであれば、どのような仕様にするのか、どのような方式を使うのか、どのような技術を使うのか、どのような構成にするのかといったあたりまではプロジェクトマネジメント(特に管理視点)としてコントロールしておきたい範囲であり、それはマネジメント計画の一部に含めるべきである。

商品開発であれば、マーケティングをどのように行うのか、ユーザ評価をどのように行うのか、どのような技術を使うのか、などである。

これは単に技術という意味だけではないので注意してほしい。例えば、組織変革プロジェクトを行うのであれば、人材育成の計画が必要になるし、コーチングの計画も必要になるかもしれない。あるいは、情報化の計画も必要になるかもしれない。これらについても上のシステム開発や商品開発と同様の議論が成り立つ。

(次回に続く;次回は続編としてローリングウェブの解説をします)

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