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今月のこれ!リスクマネジメント |
◆プロジェクトマネジメントは「リスクとの戦い」
昔から、プロジェクトマネジメントは「リスクとの戦い」であるといわれるくらい、プロジェクトマネジメントにとってリスクマネジメントは重要なものだ。その証拠にリスクを考えていますかというと、必ず、考えているという答
えが返ってくる。
でも、納期も予算も厳しいので、「どうしようもないんだよね」という話でもある。
違う!納期や予算が厳しいからこそ、リスクマネジメントなのだ。
「どうしようもない」と思っている人、ぜひ、以下を読んでほしい。
リスクマネジメントがなぜ、難しいのか?例えば、あるメーカーが、自社の製品の不良で消費者から訴えられ、不買運動を起こされ、経営的にピンチに陥る。このようなリスクをきちんとマネジメントする。これは意識の問題だが、ある意味で簡単にできる。リスクとしてマネジメントしていくしか仕方がないからだ。
ところが、プロジェクト計画の中でリスクを扱うのは以外と難しい(と感じる人が多い)。例えば、あるプロジェクトでは顧客の仕様変更が予想されるとしよう。これはリスクだ。そこで、考えるのは、「スケジュールをサバよんでおこう」、「予算を多めに吹っかけておこう」といったことだ。これをもってリスクマネジメントだと言っているケースが実に多い。確かに、こういう思考もプロジェクトマネージャーには必要である。
が、逆に、組織や個人のスキルという視点で考えると、きちんとした見積もり実績が積み上げられないといった弊害があるのも事実だろう。
◆リスクとリスク対策
どこに問題点があるのだろうか?ここで、冒頭の話になる。スケジュール計画や要員計画とリスク計画がきちんと分離できていないのだ。つまり、リスクは考える。ところがリスクをリスクとして計画するのではなく、リスク対策を含んだスケジュール計画や要員計画として作ってしまうのだ。
そもそも、リスクとは何か?プロジェクトマネジメントでいうところのリスクとは、
計画との差異が生じる可能性
なのだ。通念的にはリスクというのはダメージを生じるものであり、プロジェクトマネジメントでもこれは変わらない。ダメージの定義の問題で、計画との差異が生じるとダメージであると考える。これは、計画を軽視していると感覚的に分かりにくいと思うが、プロジェクトマネジメントは「計画ありき」だと考えれば納得がいくのではないかと思う。
そのように考えると、「顧客が要求変更を言ってきそう」だから、「コストを水増ししておく」というのがもっともらしいようで、実はリスク対策になっていないということは容易に理解できよう。プロジェクトにとって「最悪のケ
ース」を避ける(もっと流行的に言えば失敗を避ける)ことを考えているだけで、計画との差異で考えれば、多くの場合、リスクを大きくしている(つまり、そうなる可能性が10%でもあれば、対処するマネージャーが多いが、これは10%のリスクを90%のリスクに変えていることになる)。
◆プロアクティブなリスクマネジメント
では、リスクが現実になったとき、つまり、計画と差異ができてしまったらどうするのか?ここをプロジェクト計画・企画段階で考えておくのが、プロジェクトマネジメントでいうところのリスクマネジメントである。
つまり、スケジュールや予算などの計画と、リスクは切り離されている。言い換えると、リスクが独立したマネジメントの対象になっているのだ。その上で、プロジェクトの早い段階から、リスクについて考えておくのがいわゆるプロアクティブなアプローチである。
ここを理解せずに、リスクを折り込んだ計画になっているので、リスクは考えているというのは、占い師が天気を占い、ピラミッドを作っているのと本質的に変わらないことを肝に銘じておく必要があろう。
最後に、以上述べてきたことの背景にあるものについて触れておきたい。それはプロジェクトマネジメントは何のためにするのかということだ。
◆プロジェクトの成功と失敗
リスクを計画に対する差異であると考えるというのは、プロジェクトを成功させるためである。つまり、プロジェクトを成功させるためには、計画は常にその時点で入手できる情報の範囲で最適化されたものでなくてはならない。言い換えると、常に「ある状況にしておく」ことが必要になる。山歩きをするときに、稜線を歩くようなイメージをしてもらえばよいだろう。その代わり、危険に対する万全の構えが必要だ。
ところが失敗させないためには、計画には冗長性がある方が望ましい。失敗させないということは「ある状況にならない」ようにコントロールすることであり、そのための自由度が大きくなるからだ。安全なところを歩いて行き、着実に頂上を目指す。
稜線を歩くことが無条件に良いというつもりはない。結果として安全なところを歩いていく方が早く、費用も少なくなることもある。
◆確実に言えること
二つだけ、確実に言えることがある。
一つは、山である限り、100%安全であることはありえない。プロジェクトマネジメントの適用対象はテネシー川の開発から、ビジネスプロジェクトに移っているのだ。
それから、稜線を歩こうとすれば、「プロアクティブ」である必要があるということだ。
リスクの扱い方をきちんと勉強して、すっきりとして、実現可能なプロジェクト計画の策定ができるようになりましょう!
というわけで、今月はこの記事をお奨めします!
リスクマネジメント【これだけ知っていれば困らない】
プロジェクトの本質はステークホルダにあり【診断ノート】
リスクについて考えてみよう【戦略ノート】
【おまけ】AllAboutの記事です
リスク管理が開発を救う
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