第8回(2003.02.27) 
PMである前にマネージャーであれ
 
 プロジェクトマネージャーへの道は、第7回で終わっているんですが、セミナーで何人かの人から、結構楽しみにしていたのにといわれましたので、気を良くして(笑)、不定期に継続します。

 先日のプロジェクトマネージャー養成マガジンセミナーで、ある方から

 
要するにプロジェクトマネージャーって、PMである前に、マネージャーなんですよね?

という質問をされました。著者は何度かこのシリーズの中で、この質問に対する答えを言ってきたつもりです。もちろん、プロジェクトマネージャーというのは、プロジェクトという特殊な形態の仕事のマネージャーなのです。

 考えてみれば、マネージャーというのは組織の管理者です。今のマネージャーというのは、経緯から、ライン型組織のマネージャーということになっています。しかし、業務遂行の形態でプロジェクトが大半を占めてきたらどうなるのか?実際に、IT系の企業や製薬会社などはいまでもそうなのですが、プロジェクトのマネージャーをする人たちをマネージャーというのです。

 ところが、、、じゃあ、プロジェクトマネジメントの「手法」なるものはそのような現実に対応しているのか?分かりやすい例が、2月末にやっと日本語版が出版される2000年版PMBOK、あるいは、P2Mのガイドブックです。目を通せば、答えはたちどころに分かります。対応しています。

 2000年版PMBOKやP2Mは、まさに一種の経営の教科書です。このような手法を身につけて経営を配慮した業務と組織のマネジメントを行っていくのが、今の時代のプロジェクトマネジメントなのです。ただし、これらは知識に過ぎません。これを実践していこうとすると、フィールドでしか得られない実践力が必要になってきます。

 今までプロジェクトマネジメントは「技術(知識)」だと考えられてきました。実際のところ、手法をきちんと理解し、ツールを上手に使いこなしていれば、プロジェクトを成功に導くことができていました。ところが、PMIのプロジェクトの成功要因の調査でもっとも多いのがヒューマンスキルだったという調査結果からも分かるように、手法やツールだけではプロジェクトを成功に導けないという認識が高まってきました。

 これは、プロジェクトが変質してきたというよりも、むしろ、プロジェクトマネジメントの適用範囲が広くなってきて、建設、エンジニアリング、IT以外にもさまざまな分野で仕事をプロジェクトとして行うようになってきたからだといえます。今の時代は、どこの会社を見ても、そこらがプロジェクトだらけなんじゃないでしょうか?

 いずれにしても、そのような中で、従来とは異なるプロジェクトマネジメントが求められるようになってきたわけです。これをわれわれは「ニューウェーブプロジェクトマネジメント」と呼んでいます。

 そこで、では、どういうプロジェクトマネージャーが必要かということになるわけですが、これが上の話です。これを実感するために2つの極端な例を考えて見ましょう。

 プロジェクトマネジメントは知らない優秀なマネージャー
 PMPの資格を持つエンジニアタイプのマネージャー

はどちらがうまく機能するでしょうか?われわれは、メンバーの自発性を引き出すことを最大のポイントに考えていますので、前者の方がうまく機能すると考えています。この2つは極論ですが、われわれが必要だと考えているマネージャーは

 「プロジェクトマネジメントのセンス」を持った優秀なマネージャー

です。プロジェクトマネジメントのセンスとは何ぞやということになりますが、これを、「プロジェクト文化を創れる」ことだと考えています。

 ということで、プロジェクトマネージャー養成塾はこのようなプロジェクトマネージャーの育成を目的にしています。プロジェクトマネジメントのセンスは、ものによっては手法を知っていることにより実現されるし、ものによっては文字通り「センス」というものもあります。プロジェクトマネジメントのセンスをこのような視点から分析して、それを講義、演習、討論、ロールプレイ、エクスサイズと多様な形で習得していただけるようなプログラムになっています。

 このようなプロジェクトマネージャー像に共感いただける方、ぜひ、ご参加ください!
また、この塾ではOBになっても続いていくような人的交流をつくり、将来的にはプロジェクトマネジメントの強力なコミュニティ作りをしたいと思っています(コミュニティ名は「七人の侍」になる予定です;笑)。この目的のため、塾の最後は2日間の合宿をプログラムしています。今回は湘南の国際村というところで行います。もちろん、好川も2日間フルコミットさせて戴きます。

 塾の内容、スケジュール、料金、教材など詳しいことは

  http://pmos.jp/juku/index.htm

をどうぞ。
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