タイトル 図解 国際標準プロジェクトマネジメント―PMBOKとEVMS cover
原著タイトル  
著者 能沢徹
出版社 日科技連
出版年(原著出版年) 1999 価格 2400円
書評  プロジェクトマネジメントをプロジェクトオーナー(発注者)の視点から解説した本である。
 プロジェクトマネジメントの本というと、視点はプロジェクトマネージャーにある本が多い。ところが、プロジェクトがうまく行くためには、オーナーが上手にプロジェクトを定義して、適切な形でコンストラクタにプロジェクトを発注する部分が重要なケースが多い。しかし、そのような視点の本は意外に少なく、貴重な本である。
 本書の中心になる内容は2つある。一つはPMの手法としてEVMS(Earned Value Management System)の紹介である。もう一つがPMBOKの紹介である。アーンドバリューは出来高という意味で、プロジェクト作業がどの程度達成されたかを示している。この値と計画値を比較して進捗の評価をするのがEVMSである。この本ではEVMSについて詳しく説明されている。PMBOKについては、9つのマネジメントプロセスの一つ一つを、必要最小限のことを簡潔に説明している。読み終えれば、ほぼ、PMBOKのフレームワークが分かるようになっている。このほかに、契約方式についても詳しく解説されている。
 このようにプロジェクトオーナーが必要とする知識を網羅しており、プロジェクトの発注担当者になった人にお薦めの1冊である。同時に、プロジェクトマネージャーにとってもオーナーの視点を知り、うまくプロジェクトを進めていくために必読の1冊である。
評価 レベル 中級 お奨め度 ★★★★

プロジェクトマネジメント技法(3)

タイトル プロジェクトマネジメント革新―人材・プロセス・ツールの最適活用 cover
原著タイトル  
著者 芝尾芳昭
出版社 日科技連
出版年(原著出版年) 1999 価格 2600円
書評   本書は、プロジェクトマネジメントを実践している人に、現在行っているプロジェクトマネジメントの革新をテーマとして書かれた本である。
 この本を読んでいてまず感心させられることは、現行のプロジェクトマネジメントの問題点を適切に整理していることである。特に、プロジェクト組織のあり方、プロジェクトライフサイクルの設定の仕方の2点について深く考察をし、阻害要因をまとめてある。プロジェクトマネジメントの経験者であれば、何度もうなづく場面があるだろう。
 この本が提案しているプロジェクトマネジメント革新はソフトウエア業界で使われている成熟モデルであるCMM(Capability Maturity Model)を参考にしている。CMMについては本書の中に1章を割いた説明があるし、もっと詳しく知りたい人は、カーメギーメロン大学:「成功するソフトウェア開発―CMMによるガイドライン」(オーム社)という好著がある。基本的はプロセスをビジブルにし、継続的な改善をしていくというTQCの基本ともいえる考え方である。本書では、このような形でのプロジェクトプロセスの革新を行うことを提唱するとともに、改善のポイントになる点を指摘している。
 プロジェクトマネジメントを導入してみたものの、マンネリ化してきて効果が下がってきた組織のマネージャーに、原点に戻る意味でお薦めしたい1冊である。もちろん、これからプロジェクトマネジメントを導入する人の予備知識を得るにも貴重な本である。
評価 レベル 中級 お奨め度 ★★★