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第5回(2005.10.24) 「バリバリプロジェクトマネージャーの奮戦記」
〜知〜
バリバリ プロマネ塾 小池 浩之 |
** 登場人物紹介 ****************************************************** * *
* 西 :新米プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト推進中 * * *
* 須藤:ベテランプロジェクトマネージャー。西の先輩であり師匠 * * *
* 神田部長:西、須藤の所属する部署の部長 * * *
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「須藤さん」
「おぅ!、西か、どうした?」
「今のプロジェクト、そろそろ次の工程の体制について考えてるんですが」
「そうだな、次は要員ももっと増やす必要があるだろいし、技術的な解決能力を高めていかないとダメだよな」
「そうなんですが、予算の問題もあって、現在の上級SEを全員継続という訳にもいかず、上級SEと中初級SEの比率を変えさらに開発要員も増員していかなきゃいけないじゃないですか」
「まぁ、そうなるな」
「心配なのは、知識とか、ノウハウの量なんです。上級SEがいなくなるとグッとスキルが、落ちるような気がして・・・」
「そりゃぁそうだな、一緒に作業をしていたとしても、やっぱり上級SEを頼って推進してきてるだろうしな、そういうことでは、知識量は減るな」
「でも、主要なメンバーは継続させるんだろう?」
「そのつもりでいたんですが・・・」
「どうした?」
「実は、来月から立ち上がるプロジェクトでどうしても、リーダークラスと上級SEが必要なので、こっちのメンバーをシフトしてほしいって言われてまして」
「そんなもん、断れ!」
「はぁ、でも、こっちも以前、力を借りたこともあるし、神田部長に言われてるんですよ」
「おまえ、もう承諾しちゃってるんだろう?」
「じつは・・・」
「おまえは、おまえのプロジェクトを守らなきゃいけねーんだぞ!」
「神田部長に言われようが、誰に言われようが、自分のプロジェクトに支障がでることを簡単に承諾するんじゃねーよ!」
「大体、内部からプロジェクトを失敗に追い込むことはねーだろ」「まぁ、今更こんなことを言ってもしょうがないけど、で、その後の体制はどうするんだよ?」
「はい、残ってるメンバーと新たに、参画するSEでの体制案はできているのですが、先ほど言った通り、知識と、ノウハウをどうやったら、引き継げるかを考えてて、いい知恵が思い浮かばず、須藤さんのところに来たわけです。」
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ナレッジマネジメントの基礎理論として一橋大学大学院の野中郁次郎教授の示されているプロセスモデルに「SECIモデル」というものがあります。
これは、知識には、「暗黙知」と「形式知」があり、循環しながら知識が創造されているというものです。
(参照:http://isbrain.dip.jp/grossary.html "seci model"を検索)
4つのプロセスが循環していることが、わかると思います。
「共同化」の、暗黙知を獲得するということは、プロジェクトマネージャーとしてマネジメントのツボを身につけるようなことですが、直接経験するか、または情報収集/観察するということが必要でしょう。
「表出化」の暗黙知の形式知への変換とは、対話による言語への変換、または資料の作成による自己の暗黙知を整理し何らかの形にするということです。
「連結化」については新しい形式知の創造として、たとえば会話の中で、人の話によって自分の知識が結びつき、新たなアイデアとして話題になったりということがありますよね。
「内面化」では、そのアイデアなどを行動、実践することで、新たな暗黙知として学習するといったものです。
プロジェクトに於ける、情報共有に関しては、情報管理ツールを利用していることと思いますが、時には、「それをもっと早く言ってくれれば」とか、「教えてくれれば、こんな無駄なことしなかったのに」ということもあるわけです。
また、ノウハウのような情報の場合も、情報管理ツールには乗らないでしょうしナレッジ情報の管理と言っても、自己がノウハウであることを認識していない場合は管理されないことになります。
要するに、プロジェクトでは、マネジメントに限らず業務上の事項についても形式化していない知識は多くある訳です。しかし、表出化されなくても同一の暗黙知を持ち合っているということも、よくあることです。
プロジェクトマネージャーにとって重要なのは、有意義な情報をいかに形式知に変換するかにあるでしょう。
それには、【場】を提供することです。
事務的な報告の雰囲気ではなく自由に情報交換できる【場】をメンバーに与えると、アイデアが生まれるはずです。
最近は、個別に喫煙するより、皆で灰皿を囲む場が多いと思いますが、この喫煙室などはアイデア創出の代表的な【場】ですね。
(喫煙の勧めではありませんので、誤解のないようにお願いしますね)
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「引継ぎということなら、引き継ぐ側、即ち上級SEだが、上級SEは、設計した内容を設計書に基づいて説明してくれるだろう、しかし、彼からすれば、今まで一緒にやってきた他のSEも知ってること、もしくは、ある部分は、誰それのほうが詳しいと思ったら省略するだろうがな」
「それじゃぁ困るんですよ」
「困りゃぁしないよ
上級SEが自分より他のSEのほうが知ってるというならそうなんだよ
だから、そこに集中するより、その上級SEが持ってるノウハウ、設計書に書いてない知識を出してもらうほうがいいだろう」
「しかし、ノウハウとか知識は100%引き継ぐのは不可能なんだから、引継と言っても受け側のSEが自己の知識と組み合わせることによって、自信を持って推進できるようにさせることが肝心であり、その為の、時間と場面を多く作っていくしかないだろう」
「ただし、ポイントを絞ったほうがいいぜ。
例えば、上級SEが仕様を確定させた経緯について、将来的な見通しをどのように考えていたのかとかな」
「なるほど、出す側の知識を伝授するのではなく受ける側が新たな知識として蓄積できる環境とヒントを与えるということですね」
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バリバリプロマネ塾 小池 浩之
各社の情報システム構築にプロジェクトマネージャーとして携わる他 ITコーディネータとして地域活動を通じIT化を推進、支援。
また、これからのプロジェクトマネージャーに必要な能力を身に付ける 一助として先人のノウハウ継承をすべく
メルマガ「バリバリプロジェクトマネージャーになろう!」を発行中
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