|
第4回(2005.09.28) 「バリバリプロジェクトマネージャーの奮戦記」
〜プロジェクト阻害要因は触覚に触れたら即行動〜
バリバリ プロマネ塾 小池 浩之 |
** 登場人物紹介 ***************************************************** * *
* 西 :新米プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト推進中 * * *
* 須藤:ベテランプロジェクトマネージャー。西の先輩であり師匠 * * *
* 神田部長:西、須藤の所属する部署の部長 * * *
*********************************************************************
「西いるかー」
「あ、須藤さん、どうしたんですか?」
「スケジュールが遅延してるんじゃないかと思って様子を見に来たのさ」
「なんでですか?」
「あの報告書の内容じゃ、上のほうでは、順調だと思うだろうが、実態としては、結構、汲々としてるんじゃないかと思ってよ」
「ばれましたか」
「あたりまえだ、どっちにでも取れるような書き方をしておいてもう少し様子を見ようなんて姑息なことをするな、しっかり問題を把握して解決方針を明確にすべきじゃないのか?」
「おまえらしくないやり方だから、気になって来てみたんだよ」
「すいません」
「で、なにが引っかかってるんだ?」
「はぁ、Dチームなんですが、顧客との内容確認、調整会議が他のチームより多いにも関わらず、進捗が思わしくない状態なんです。」
「検収とは言わないまでも、個別要件に対する承認への取り決めはしているんだろ?」
「はぁ」
「なんだ、自信のない返事だな」
「いえ、このチームの担当顧客は、当初から、全体が見えないのに個別の承認はできないと言っていたんです」
「そうか、まぁ、よくいるだろう。でも、会議は多い訳だろ?」
「ということは、承認をするとか、しないではなく、1つの要件について会議で検討してる時間が長いと見るべきだろう」
「会議の様子については、確認したのか?」
「議事録では、会議の内容、決定事項、保留事項、検討事項を確認し、要件によっては、課題管理もしてます。
確かに保留事項、検討事項は、毎回提示されているのですが・・・」
「おまえが、自分でその会議に、出席して確認してないのか?」
「一度だけ出席しましたが、基本的には、各チームのリーダーに委任する形をとっていますので」
「確かに、ビッグプロジェクトになると、プロジェクトマネージャーが業務調整の全会議に出席するのは不可能かもしれないが、順調じゃないと思ったら自分で、十分に確認を取って根本原因をつぶしておかないと後で大きな問題になるぞ」
「そのリーダーがどう言うか知らんが、俺が思うに、当社側と担当顧客の間に溝ができてる可能性があるな。」
「どういうことですか」
「担当顧客からの、信用を失ってる可能性があるということさ」
「そんなことはないと思いますよ、よく帰りに、誘ったり、誘われたりということがあるみたいですから」
「あほか、おまえは。人間関係が崩れないように仕事上のアンバランスをそこで補ってるということも考えられるだろう」
「考えすぎじゃないですか?」
「そうかもしれないな。しかし、個別に承認できないと言っている顧客のスタンスからすると、会議が順調に進んでなければ、プロジェクトマネージャーにクレームを言ってくると思うんだけど、それもない訳だろう。」
「会議の進め方はどうなんだ?」
「リーダーが進行し、議題の資料は作成者のメンバーが説明して、質疑応答の上、内容確認をとっています。私が出た会議では、資料の内容について担当顧客から、かなりつっこまれてましたね。
担当顧客の性格からすると、ああいう厳しい言い方も、わからなくはないですが」
「で、リーダーはフォローしないのか」
「顧客の指摘事項は、理屈からしてもっともな話だったので、その場でそのメンバーに再検討をするように指示してました。」
リーダーの下で動いているメンバーは、どんな要員だ?」
「皆、まだ若いので、言われたことを、こつこつとやってるはずです。」
「はず・・とはなんだ?」
「問題があるチームのメンバーの様子もみてないのか?」
「一度、そのメンバーから様子を聞いてみろ」
「資料を何度提出してもNGのはずだぜ」
「リーダーが、本来の役割を果たせてないな。仕事が多すぎて既に許容量をこえているか、もしくは、業務知識が不足している可能性もあるぞ。
よくあるケースだが、リーダーがメンバーにまかせきりになってしまってその説明内容も十分に把握できてないんじゃないか?。もしかすると説明資料も事前に目を通してないかもしれん。
だから、顧客の指摘に対して、フォローができず、そのままメンバーに向かって指示してるんだろう。一見、顧客には、早い対応をしているかに見えるが、実は内容を理解していないからその場を繕っているんだと思う」
「だから、そのメンバーが資料を何度作り直しても要件が収束しない状態になっていて、そのメンバーのモチベーションも下がってるんじゃないか?」
---------------------------------------------------------------------
会議に於ける資料説明を、作成者が行うのはいいことですが、その内容について、相手の指摘事項が一般常識の範囲のものであったり確認済みの事項に対する誤りである場合責任者であるリーダーが受け止めるべきです
リーダーとしては、どうしても資料作成者であるメンバーと顧客の間に入って、仲を取り持つ格好になりがちですが、本来は自分の責任に於いて説明をし、検証/検収を得るのが筋です。
しかし、詳細に至る正確な説明、メンバーの成長の意味でその権限を委譲しているわけですから内容の理解は当然として、指摘事項は自分で受けることがあるべき姿でしょう。(メンバーのスキルにもよりますが)
プロジェクトマネージャーは進捗会議等に於ける表面上の理由と対応ではなく、表面に現れにくい状況を捕らえ、根本原因について追求し、プロジェクト推進上、問題になりそうなことは、自ら表に立ち改善することが必要です。
このケースの場合、既に悪循環に入っている可能性があり、改善するにはプロジェクトマネージャーが、リーダーの行動について指導し、もしも、業務知識の不足があるならば、補強が必要です。
また、会議のあり方について、担当顧客を含めて、一度全体スケジュール会議の目的、進め方の意識を統一させ、当面プロジェクトマネージャーが自ら推進し、軌道に乗せるのが望ましいでしょう。
※“会議を進める9つのポイント”についてはこちらを参照願います。
--------------------------------------------------------------------------------------------
「各要員が活動してくれるお陰でプロジェクトが成り立ってるんだぜ阻害要因は早く排除し、モチベーションを維持してもらうことが、おまえの仕事だぞ、いいか?」
「わかりました。問題になりそうだとかいったような、触覚に触れるものがあったら早く原因を追求し、場合によっては自分で最前線に立ち、改善行動を起こすことがプロジェクトマネージャーとして必要だということですね」
「そういうことだ。対応の結果は大事なんだけど、プロジェクトマネージャーが動いたということに意味があるのさ」
「チームを明るい雰囲気に保てれば生産性も向上するはずだ!」
--------------------------------------------------------------------------------------------
バリバリプロマネ塾 小池 浩之
各社の情報システム構築にプロジェクトマネージャーとして携わる他 ITコーディネータとして地域活動を通じIT化を推進、支援。
また、これからのプロジェクトマネージャーに必要な能力を身に付ける 一助として先人のノウハウ継承をすべく
メルマガ「バリバリプロジェクトマネージャーになろう!」を発行中
|
スポンサードリンク |
|
|
読者からのコメント |
■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■
■は必須入力です
|
|
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます. |